2016年08月01日

【4-6月期米GDP】前期比年率+1.2%、予想外の低成長継続

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:成長率は、前期から上昇も市場予想を大幅に下回る伸び

7月29日、米商務省の経済分析局(BEA)は4-6月期のGDP統計(1次速報値)を公表した。4-6月期の実質GDP成長率(以下、成長率)は、季節調整済の前期比年率1で+1.2%となり、1-3月期(同+0.8%)から上昇したものの、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の同+2.5%を大幅に下回った(図表1・2)。
(図表1)米国の実質GDP成長率(寄与度)/(図表2)米国のGDP(項目別)
4-6月期の成長率を需要項目別にみると、個人消費が前期比年率+4.2%(前期:+1.6%)と前期から伸びが加速し、当期の成長率を+2.83%ポイント押上げたほか、純輸出(輸出-輸入)の成長率期寄与度も+0.23%ポイント(前期:+0.01%ポイント)と成長を押上げた。一方、在庫変動の成長率寄与度が▲1.16%ポイント(前期:▲0.41%ポイント)と、大幅な押下げとなったほか、これまで好調であった住宅投資が前期比年率▲6.1%(前期:+7.8%)と、前期からマイナスに転じたことに加え、民間設備投資が同▲2.3%(前期:▲3.4%)と3四半期連続のマイナスとなったことが成長を押下げた。当期は、政府支出も▲0.9%(前期:+1.6%)と小幅ながらマイナスとなった。

4-6月期は、予想通り個人消費が順調な回復を示したものの、在庫投資が予想以上に成長を押下げたほか、14年10-12月期以降、高い伸びが続いていた住宅投資が予想外のマイナスとなったことが、市場予想からの下振れ要因となった。もっとも、住宅市場の基調が変化していないと考えており、これらは逆に来期の成長率を押上げることが期待できる。

今回は、年次改定に伴い過去3年分の成長率の改定値も発表された。改定の結果、14年の成長率(前年比)は+2.4%と変更はなかったもの、13年が+1.5%→+1.7%に+0.2%ポイント上方修正されたほか、15年も+2.4%→+2.6%に+0.2%ポイント上方修正された。また、15年の四半期毎の成長率は、1-3月期が+0.6%→+2.0%と上方修正される一方、4-6月期が+3.9%→+2.6%と下方修正され、改定前に比べて成長率の変動が緩やかとなった。
 
 
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。

2.結果の詳細:

(個人消費・個人所得)個人消費が前期から大幅に加速
4-6月期の個人消費は、財消費が前期比年率+6.8%(前期:+1.2%)、サービス消費が+3.0%(前期:+1.9%)と財、サービス消費ともに前期から伸びが加速した(図表3)。財消費では、自動車・自動車部品が+4.5%(前期:▲8.5%)と3期ぶりにプラスに転じたことから、耐久消費財が+8.4%(前期:▲0.6%)と前期から大幅なプラスに転じたほか、食料・飲料が+8.6%(前期:+3.2%)となるなど、非耐久消費財も+6.0%(前期+2.1%)と前期から伸びが加速した。サービス消費は、医療サービスが+3.8%(前期:+5.6%)と前期から伸びが鈍化したものの、住宅・公共料金+4.2%(前期:0.7%)などが伸びた。

一方、所得は実質可処分所得が+1.2%(前期:+2.2%)と、前期から伸びが鈍化した(図表4)。消費の伸びが所得を上回った結果、貯蓄率は5.5%(前期:6.1%)と、前期から低下した。
(図表3)米国の実質個人消費支出(寄与度)/(図表4)米国の実質可処分所得伸び率と貯蓄率
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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