2016年06月27日

米国「長寿年金」の動向-適格長寿年金契約(QLAC)に関する税制の確定を受け、401(k)、IRA等、年金プランからの投資が期待される-

松岡 博司

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3―― QLACの開発および販売訴求動向

1|IRA内での購入を前提とするQLAC商品開発 
2014年11月、AIGグループのアメリカンジェネラルが、QLACとしての承認を受けた第1号である長寿年金を発売した。契約にQLACであるとの記載を行い、401(k)やIRAマーケットで使うためには、内国歳入庁の承認を得る必要がある 。

翌2015年に入ると、多くの会社が追随し、前述の通り、2015年末時点では11社がQLACの提供を行うようになっている。

これらの会社の多くは、401(k)等、職域タイプの年金プランではなく、個人ベースのIRA向け商品としてQLACを開発し販売開始している。その背景には、事業主による長寿年金選定に関する責任の所在の不明瞭さに関する懸念や契約管理面での問題等、解決すべき課題が残る401(k)よりも、そうした問題が少ないIRAを優先しようという判断がある。
パシフィックライフのQLACのパンフレット
節税を前面に出したQLACの販売戦略(パシフィックライフの例)1
節税を前面に出したQLACの販売戦略(パシフィックライフの例)2
節税を前面に出したQLACの販売戦略(パシフィックライフの例)3
2|401(k)内での購入を前提とするQLAC商品開発 
2015年5月、メットライフが401(k)プランを対象とするQLACを開発し、職域市場で販売開始した。401(k)市場におけるQLACの販売には、先に述べたような、さらにクリアしなければいけない問題があるとも言われるが、メットライフの担当役員は、401(k)プランにおける長寿年金の可能性が大きいことを強調し、今が他社に先駆けて機先を制する好機であるとしている。

なお、メットライフが401(k)プラン内における長寿年金投資のメリットとして訴求しているポイントはパシフィックライフがIRA向けのパンフレットで述べていることとほぼ同様である。
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松岡 博司

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