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米国「長寿年金」の動向-適格長寿年金契約(QLAC)に関する税制の確定を受け、401(k)、IRA等、年金プランからの投資が期待される-
松岡 博司
1――長寿年金拡大の原動力となるか 適格長寿年金契約(QLAC)に関する税制改正等の概要
これらの確定拠出年金プランでは、加入者ごとに個別の勘定が設けられ、拠出金およびその運用成果が勘定内に蓄積される。拠出額および勘定の中での運用成果については、その年の連邦所得税が課されず、将来、資産を引き出すときに始めて課税されるという税制上の特典が与えられる。
長寿年金を、米国民の間に普及した401(k)プランやIRA等、確定拠出年金プランの投資対象とできれば(=税制適格を有する確定拠出型年金プランの資金で長寿年金を購入できるようにできれば)、長寿年金の普及が大きく前進すると考えられる。
ところが、年金プランの課税繰り延べという税制上のメリットには、年齢制限があった。それは、70.5歳を過ぎると毎年一定の金額を口座から引き出さねばならないとするRMD(Required Minimum Distributions: 最低引出義務)制度である。このRMDが、長寿年金を年金プランの資金で購入する上での大きなネックとなっていた。
確定拠出年金プラン内で長寿年金を購入していた場合、RMDにより引出すことが必要とされる金額は、長寿年金への投資額も含めたプラン残高全体の何分の1として算出されるが、実際には、長寿年金は80歳、85歳といった超高齢期まで資金化できないので、年金プラン内の他の投資資産を取り崩して必要金額を引き出していかなければならなくなる。これが、401(k)プランやIRAで長寿年金を購入する上での制約となっていた。
2014年7月、財務省と内国歳入庁が、確定拠出年金プラン等の資金で長寿年金を購入することに関するルール改正を実施した。先述のように、今回の税制改正の元になった政府提案は2012年2月に行われたものである。それから約2年半の期間を経て、最終ルールが取りまとめられたことになる。ルール改正は2014年7月2日から適用された。
今回のルール改正の要諦は、税制上、長寿年金として認められる年金を適格長寿年金契約(Qualified Longevity Annuity Contract、以下、QLAC)として定義し、QLACに投資した部分についてはRMDの適用を免除するとした点にある。QLACは、RMDに基づく70.5歳以降の引出必要額の計算において、年金プランの残高の分母分子から除外される。これにより、QLACと認定された長寿年金契約を401(k)プランや IRA等の確定拠出年金プランの資金で購入することが可能になった。
QLACの要件等、ルールの概要は以下の通りである。
松岡 博司
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