- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 訪日外国人旅行客数は増加するのか~「2020年に4,000万人」達成に高い壁、新たなインバウンド拡大策が必要
訪日外国人旅行客数は増加するのか~「2020年に4,000万人」達成に高い壁、新たなインバウンド拡大策が必要
岡 圭佑
3――「2020年に4,000万人」達成の壁は高い、新たなインバウンド拡大策が必要
シミュレーション結果によると、シナリオ①~③のいずれにおいても政府目標の4,000万人を下回る計算になる。大幅な円安、成長率上振れを想定したシナリオ③では、中華圏からの旅客数が年々15%と大変速いペースで増加する推計結果となったが、それでも全体では3,617万人と政府目標を達成するまでには至らなかった。また、シナリオ②、③では中国が2020年にかけて8%成長を続けることを前提としており、減速が懸念される中国経済が持ち直したとしても、その押し上げ効果は限定的にとどまるとみられる。
このように、2020年にかけて現状の水準から大幅な円安や成長率の上振れが実現したとしても、政府目標である「2020年に4,000万人」の実現は困難が予想される。もっとも、中国国家統計局によれば中国本土からの海外旅行者は年間1億人を超えるとされ、このうち訪日旅客数は5%程度に過ぎず拡大の余地は十分にあると言える。さらに訪日旅客数の増加を促し、2020年に4,000万人といった政府目標を達成するためには円安に頼るだけでなく、従来の施策(訪日ビザ緩和、免税制度の拡充等)に加え、新たなインバウンド拡大策が必要となろう。
5月13日に観光庁が公表した「平成28年版観光白書」によると、2016年は一部の観光地だけでなく、国内のあらゆる地域で訪日旅客受け入れのための環境整備を進めるとされている。いっそうのインバウンド拡大を実現する上で、魅力的な観光資源の掘り起こしや対外的な発信を通じた地方への誘致が鍵となるだろう。
注1 2020年10-12月期の対円為替レートが2016年1-3月期の水準から30%円安となることを想定。2016年4-6月期から2020年7-9月期の見通しは線形補完により推計。
注2 2016年から2020年の実質GDP成長率が各国ともIMF見通しから各年2%上振れることを想定。
岡 圭佑
研究・専門分野
(2016年06月16日「基礎研レター」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか? -
2024年04月18日
サイレントマジョリティ⇒MAGAで熱狂-米国大統領選挙でリベラルの逆サイレントマジョリティはあるか-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【訪日外国人旅行客数は増加するのか~「2020年に4,000万人」達成に高い壁、新たなインバウンド拡大策が必要】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
訪日外国人旅行客数は増加するのか~「2020年に4,000万人」達成に高い壁、新たなインバウンド拡大策が必要のレポート Topへ