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韓国における老人長期療養保険制度の現状や今後の課題―日本へのインプリケーションは?―
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
図表13は、老人長期療養保険制度の管理・運営体系を示しており、保健福祉部や地方自治団体、国民健康保険公団、被保険者、長期療養サービス事業者の間に密接な関係があることが分かる。つまり、制度の主な指導及ぶ監督は保健福祉部や地方自治団体が担当する代わりに、等級判定やサービスモニタリングの実施、資格管理・保険料の賦課・徴収、等級判定委員会の運営という業務は国民健康保険公団が担当している。また、被保険者は保険料を納める義務があり、老人長期療養保険制度からのサービスの利用を希望する時には等級判定を申込み、認定されたらサービスに対する利用者負担金を支払うことによりサービスを利用することができる。長期療養サービス事業者が提供サービスは在宅サービスと施設サービスがあり、在宅サービスとしては、訪問療養、訪問入浴、訪問看護、昼・夜間保護、短期保護、福祉用具の購入・貸与などのサービスが提供され、施設サービスは老人療養施設や老人療養共同生活家庭(グループホーム)で利用することができる。
施設サービスは、老人長期療養保険制度が施行される以前には、老人療養施設、老人専門療養施設、実費老人療養施設、有料老人専門療養施設、有料老人療養施設などで提供されていたが、管理をより効率的にするために老人長期療養保険の施行直前である2008年4月に「老人療養施設」という一つの施設に統合し、運営している。そして、施設の不足などによりサービスが利用できないことを防ぐ目的で、「老人療養施設」より設備及び人材配置に関する基準を少し緩和した「老人療養施設」の縮小版とも言える「老人療養共同生活家庭」を新設した。両施設の設備及び人材配置に関する基準は図表14の通りである。
施設サービスを提供している機関は、2008年の1,700ヶ所から2014年には4,871ヶ所に2.87倍にも増加した。また、在宅サービスの提供機関も同期間に9,961機関から20,747ヶ所に2.16倍にも増えている(図表15)。
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
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