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ドイツの責任準備金評価用最高予定利率を巡る最近の動き-財務省が1.25%から0.9%への引き下げを提案-
中村 亮一
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ドイツの責任準備金評価用の最高予定利率制度については、2015年の10月から12月にかけて、財務省(BMF:Bundesministerium der Finanz:Federal Ministry of Finance)からの撤廃提案、それに対する保険業界等からの反対意見を受けての制度継続と、めまぐるしい動きが見られた。結果的に、2016年1月からの新契約に対する責任準備金評価用の最高予定利率についても、それまでの1.25%の水準が据え置かれて、現在に至っている。こうした動きについては、これまで2回の基礎研レターで報告した。
前回の報告時に、2016年1月からの最高予定利率の水準は、とりあえず1.25%の水準に据え置かれたが、2017年1月以降の水準の引き下げ等の可能性についても触れておいた。その後、財務省から、2017年1月以降、最高予定利率を0.9%に引き下げる案が提示されており、これを受けて、保険業界やドイツ・アクチュアリー会等からの意見表明も行われている。
今回のレポートでは、こうしたドイツの責任準備金評価用の最高予定利率を巡る最近の動きについて、報告する。
■目次
1―はじめに
2―財務省からの提案
3―ドイツ・アクチュアリー会の反応
4―ドイツ保険協会の反応
5―被保険者団体等からの反応
1|BdV(被保険者連盟)
2|保険雑誌(versicherungs magazin)よりの記事
6―まとめ
1―はじめに
前回の報告時に、2016年1月からの最高予定利率の水準は、とりあえず1.25%の水準に据え置かれたが、2017年1月以降の水準の引き下げ等の可能性についても触れておいた。その後、財務省から、2017年1月以降、最高予定利率を0.9%に引き下げる案が提示されており、これを受けて、保険業界やドイツ・アクチュアリー会等からの意見表明も行われている。
今回のレポートでは、こうしたドイツの責任準備金評価用の最高予定利率を巡る最近の動きについて、報告する。
1 基礎研レター「ドイツ財務省が責任準備金評価用の最高予定利率の撤廃を提案-EUソルベンシーⅡ導入に伴う監督規制の見直しの動きに対して、関係者の反応はいかに-」(2015.10.14)
基礎研レター「ドイツ財務省が責任準備金評価用の最高予定利率の撤廃提案を撤回」(2015.12.28)
2―財務省からの提案
ドイツの最高予定利率水準については、米国や日本における標準利率のように算式に基づいて定められているものではなく、今回の0.9%の根拠についても、明示的には開示されていない。ただし、基準金利とされている「ドイツ10年国債の利回り」や「ユーロの10年スワップレート」の過去の平均数値は、以下の表の通りとなっており、これらに基づいて、決定されているものと想定される。
なお、この表に基づけば、本来的には、2016年1月1日からの引き下げも考えられたと思われるが、1で述べたような動きがあった中で、それは見送られている。
仮に、これに基づいて、日本の標準利率設定ルールに従った場合の数値を試算してみると、(1)過去3年平均も使用する形になることから、基準となる利率は低下するが、(2)一方で、1%以下での安全率係数が0.9と高くなり、「×60%」というような大きな安全割引がなされないため、結果として、ユーロの10年スワップレートを使用して、6月末で判断した場合には、ほぼ0.9%程度の水準となるものと想定されることになる。
ただし、この場合でも、現在の金利が継続するとした場合には、1年後には0.6%程度、2年後には0.5%程度の水準に低下していかざるを得なくなる。
3―ドイツ・アクチュアリー会の反応
2 DAV のポジション・ペーパーhttps://aktuar.de/politik-und-presse/positionen-und-stellungnahmen/Stellungnahmen/2016-05-10-DAV-Stellungnahme-DeckRV-final.pdf
3 DAVの提案する2段階方式については、基礎研レター「ドイツ財務省が責任準備金評価用の最高予定利率の撤廃提案を撤回」(2015.12.28)を参照のこと。
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