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- 鉱工業生産16年4月~熊本地震の影響は限定的
2016年05月31日
1.熊本地震の影響は限定的
経済産業省が5月31日に公表した鉱工業指数によると、16年4月の鉱工業生産指数は前月比0.3%(3月:同3.8%)と2ヵ月連続で上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲1.5%、当社予想は同▲1.4%)を大きく上回る結果となった。先月時点の予測指数の伸び(前月比2.6%)は大きく下回ったが、これは予測調査の締切日が地震発生前だったためである。出荷指数は前月比1.5%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲1.7%と2ヵ月ぶりの低下となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は16年1-3月期の前期比▲2.4%の後、4月は前月比6.0%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は16年1-3月期の前期比▲1.0%の後、4月は前月比0.0%となった。
16年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比▲1.4%と3四半期ぶりに減少したが、企業収益の悪化を受けて4-6月期も低調に推移する可能性が高い。
消費財出荷指数は16年1-3月期の前期比▲2.0%の後、4月は前月比3.8%となった。耐久消費財が前月比4.7%(1-3月期:前期比▲3.4%)、非耐久消費財が前月比2.4%(1-3月期:前期比▲0.4%)といずれも高い伸びとなった。
16年1-3月期のGDP統計の個人消費は前期比0.5%となったが、うるう年による押し上げの影響を除けばほぼ横ばいだったと考えられる(当研究所では1-3月期の個人消費はうるう年で前期比0.4%押し上げと試算)。4-6月期の個人消費は現時点では前期比0.1%のほぼ横ばいを予想しているが、1-3月期とは逆にうるう年の反動で押し下げられているため、実態としては緩やかな持ち直しの動きとなることが見込まれる。
16年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比▲1.4%と3四半期ぶりに減少したが、企業収益の悪化を受けて4-6月期も低調に推移する可能性が高い。
消費財出荷指数は16年1-3月期の前期比▲2.0%の後、4月は前月比3.8%となった。耐久消費財が前月比4.7%(1-3月期:前期比▲3.4%)、非耐久消費財が前月比2.4%(1-3月期:前期比▲0.4%)といずれも高い伸びとなった。
16年1-3月期のGDP統計の個人消費は前期比0.5%となったが、うるう年による押し上げの影響を除けばほぼ横ばいだったと考えられる(当研究所では1-3月期の個人消費はうるう年で前期比0.4%押し上げと試算)。4-6月期の個人消費は現時点では前期比0.1%のほぼ横ばいを予想しているが、1-3月期とは逆にうるう年の反動で押し下げられているため、実態としては緩やかな持ち直しの動きとなることが見込まれる。
2.4-6月期は2四半期ぶりの増産へ
製造工業生産予測指数は、16年5月が前月比2.2%、6月が同0.3%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(4月)、予測修正率(5月)はそれぞれ▲5.9%、▲1.5%となった。先月時点の予測指数は熊本地震前の調査だったため、4月の実現率は全ての業種でマイナスとなったが、特に輸送機械のマイナス幅が▲12.6%と大きかった。
輸送機械の4月速報値は懸念していたほど落ち込まなかったが、予測指数は5月が前月比▲1.5%、6月が同5.0%となっており、震災後の挽回生産が6月までずれ込む可能性があることを示唆している。また、燃費不正問題発覚による軽自動車の生産停止の影響が5月以降の生産を下押しする可能性があるだろう。
5月の予測指数を大きく押し上げているのは、はん用・生産用・業務用機械(前月比9.3%)、情報通信機械(同13.2%)の2業種だが、これらの業種はいずれも実現率の大幅マイナスが続いているため(4月はそれぞれ▲6.8%、▲9.2%)、5月の生産の実績値は予測指数を大きく下回る可能性が高い。
輸送機械の4月速報値は懸念していたほど落ち込まなかったが、予測指数は5月が前月比▲1.5%、6月が同5.0%となっており、震災後の挽回生産が6月までずれ込む可能性があることを示唆している。また、燃費不正問題発覚による軽自動車の生産停止の影響が5月以降の生産を下押しする可能性があるだろう。
5月の予測指数を大きく押し上げているのは、はん用・生産用・業務用機械(前月比9.3%)、情報通信機械(同13.2%)の2業種だが、これらの業種はいずれも実現率の大幅マイナスが続いているため(4月はそれぞれ▲6.8%、▲9.2%)、5月の生産の実績値は予測指数を大きく下回る可能性が高い。
16年4月の生産指数を5、6月の予測指数で先延ばしすると、16年4-6月期は前期比2.5%となる。実際の生産は予測指数から大きく下振れる可能性が高いものの、2四半期ぶりの増産は実現できそうだ。
4月の生産は事前予想を大きく上回り、過去の震災時(阪神淡路大震災、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震、東日本大震災)と比べると、震災当月の生産活動への悪影響は小幅にとどまった。地震の影響は5月までずれ込む可能性があるものの、それによって生産活動の落ち込みが長期化することはないだろう。問題は海外経済減速、円高の進展、国内需要の低迷などから、震災発生前から生産の基調が弱まっていたことだ。挽回生産による押し上げがなくなった後も生産の回復基調が維持できるかどうかは依然不透明だ。
4月の生産は事前予想を大きく上回り、過去の震災時(阪神淡路大震災、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震、東日本大震災)と比べると、震災当月の生産活動への悪影響は小幅にとどまった。地震の影響は5月までずれ込む可能性があるものの、それによって生産活動の落ち込みが長期化することはないだろう。問題は海外経済減速、円高の進展、国内需要の低迷などから、震災発生前から生産の基調が弱まっていたことだ。挽回生産による押し上げがなくなった後も生産の回復基調が維持できるかどうかは依然不透明だ。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2016年05月31日「経済・金融フラッシュ」)
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