2016年05月20日

G7伊勢志摩サミットに集う欧州首脳の胸中-協調的財政出動が困難なそれぞれの事情-

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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■要旨
  1. G7伊勢志摩サミットでは機動的財政出動での合意が見込まれるが、財政ルールへの適合状況、政治サイクル、景気認識の差が制約要因となるため、欧州諸国の新たな協調的行動にはあまりを期待できない。
     
  2. イタリアは政府債務残高の水準が高いため、EUのルールで財政出動の余地が制限されている。レンツィ首相の構造改革の取り組みが評価され、中期財政目標からの一時的逸脱は認められたが、17年には健全化措置の上積みを要する。
     
  3. フランスは歳出削減を中心とする過剰な財政赤字の削減プロセスにある。オランド大統領は、17年4月の大統領選挙を控え、高失業解消の切り札として労働改革関連法案の制定を進める。支持母体の労働組合の反発は強く、全土でデモが繰り広げられている。
     
  4. 英国のキャメロン首相はおよそ1カ月後にEU残留か離脱かを問う国民投票を控えて国際的な政策協調を検討する余裕に乏しい。経常赤字が高水準であり、国民投票が離脱多数となった場合には、資本が流出、経済が下振れ、財政にも悪影響が及ぶおそれがある。
     
  5. ドイツは、財政面では余裕があるが、経済は底固く、財政政策の活用に対する慎重なスタンスは当面変わらないだろう。難民関連支出の増加もあり、財政は十分に拡張的という認識だ。17年秋に総選挙を控え、難民危機対策では深い悩みを抱える。
欧州4カ国の財政ルールへの適合状況、政治サイクル、景気認識は様々

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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

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