2016年05月09日

今年度こそ分散投資の真価が問われよう

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アベノミクスの恩恵で2012~14年度の年金運用は、相対的に幸せな時間帯を謳歌することができた。ところが、昨年度は夏の中国ショックの他、年明けから調整局面となり、久方ぶりの厳しい運用結果であった。国内債券こそマイナス金利政策によってプラスになったが、他の資産クラスは、軒並みマイナス利回りである。

今年度の運用環境は、引き続き厳しい。先行きの見通しは、為替にしても株価にしても、不透明感が強い。一方、強力な金融緩和の継続で、国内債券の利回りには、ほとんど期待ができなくなっている。そのため、他の資産による利回り獲得に、より慎重に、しかし、積極的に取り組まなければならない。オルタナティブ投資の拡大は、ステークホルダーの同意獲得が容易でないだろうが。

株式も外国証券も国内債券とは異なった価格変動リスクや為替リスクを有しており、中長期的に安全かつ効率的なポートフォリオと、単年度の最適ポートフォリオが大きく乖離する可能性は小さくない。機動的なアロケーション変更を考えるのは、一つの対策になるかもしれないが、かなり難しいと思われる。

既存の資産クラスをどのように組み合わせて、リターンとリスクの最適化をどう図るか。今年度こそ、運用担当者による資産配分の腕が重く問われる年になることは、間違いないのではないか。
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(2016年05月09日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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