- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 保険会社経営 >
- 1996年―出版業界と生保業界の20年―
コラム
2016年03月15日
【出版業界】
グラフ1は取次ルートを経由した一般出版物(図書、雑誌)の販売額の推移である。1996年をピークに一般出版物の販売額は減少し続けている。華やかに思える出版業界も苦しい状況に直面しているようだ。減少の背景としては、そもそもの活字離れ、少子化、インターネットやスマホの普及による紙の本離れなどが挙げられる。また電子出版が、書き手と読み手の距離を縮め、出版社による編集、取次や書店による販売の余地を縮小して、出版業界の構造変化を促している。出版業界は、いわゆるデジタル化の影響をいち早く受けた業界と言えるだろう。
【生保業界】
一方、グラフ2は生保業界の個人保険死亡保障総額(保有契約高)の推移である。
生保業界にとって1996年は特別な年である。この年の10月に全面的な改正が施された保険業法が施行された。この改正は新法制定に匹敵するような大改正で、保険業界を取り巻く制度的な枠組みは一変した。損保会社の生保子会社が事業を開始したのもこの年からだ。
太平洋戦争後の約半世紀の間、生保業界は、働き盛りのお父さんがお金を稼ぎ、専業主婦の奥さんと2人ばかりの子供を養う核家族家庭を基本販売対象に据え、お父さんの身に万が一のことがあった場合の死亡保障を提供するというビジネスモデルで高い成長を謳歌してきた。
ところが、よりによって改正保険業法が施行された1996年をピークとして、翌97年以降、生保業界の死亡保障総額は減少基調に転じた。
バブル崩壊後の景気不振の中、新規販売が振るわなくなったことに加え、顧客の側で家計見直しによる保障額削減が行われたこと、そもそも死亡保障へのニーズが減退したことなどが、不振の背景として語られることが多い。
生保業界にとって1996年は特別な年である。この年の10月に全面的な改正が施された保険業法が施行された。この改正は新法制定に匹敵するような大改正で、保険業界を取り巻く制度的な枠組みは一変した。損保会社の生保子会社が事業を開始したのもこの年からだ。
太平洋戦争後の約半世紀の間、生保業界は、働き盛りのお父さんがお金を稼ぎ、専業主婦の奥さんと2人ばかりの子供を養う核家族家庭を基本販売対象に据え、お父さんの身に万が一のことがあった場合の死亡保障を提供するというビジネスモデルで高い成長を謳歌してきた。
ところが、よりによって改正保険業法が施行された1996年をピークとして、翌97年以降、生保業界の死亡保障総額は減少基調に転じた。
バブル崩壊後の景気不振の中、新規販売が振るわなくなったことに加え、顧客の側で家計見直しによる保障額削減が行われたこと、そもそも死亡保障へのニーズが減退したことなどが、不振の背景として語られることが多い。
【生産年齢人口(15~64歳人口)減少の影響か】
【さいごに】
とはいえ、グラフ1からグラフ3までを見て直感的に言えることは、今後人口が増える老年層を対象とする事業にさらに注力した方がいいのではないかということだ。
生産年齢人口については、2013年に8,000万人、2027年に7,000万人、2051年に5,000万人を割り込み、2060年には4,418万人にまで半減するという見通しがある(国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口』より)。
また出版業界を襲ったデジタル化の脅威は、生保業界にもいずれは波及するだろう。生保業界は、真剣にデジタル化への対応を考える時期に来ていると思う。
生産年齢人口については、2013年に8,000万人、2027年に7,000万人、2051年に5,000万人を割り込み、2060年には4,418万人にまで半減するという見通しがある(国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口』より)。
また出版業界を襲ったデジタル化の脅威は、生保業界にもいずれは波及するだろう。生保業界は、真剣にデジタル化への対応を考える時期に来ていると思う。
松岡 博司
研究・専門分野
(2016年03月15日「研究員の眼」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月18日
「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2023年】(1)~東京23区の新築マンション価格は前年比9%上昇。資産性を重視する傾向が強まり、都心は+13%上昇、タワーマンションは+12%上昇 -
2024年04月17日
IMF世界経済見通し-24年の見通しをやや上方修正 -
2024年04月17日
不透明感が高まる米国産LNG(液化天然ガス)輸入 -
2024年04月17日
英国雇用関連統計(24年3月)-失業率は増加し、雇用者数も減少 -
2024年04月17日
米住宅着工・許可件数(24年3月)-着工件数は23年8月以来の水準に低下、市場予想を大幅に下回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【1996年―出版業界と生保業界の20年―】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
1996年―出版業界と生保業界の20年―のレポート Topへ