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- 鉱工業生産16年1月~1-3月期は再び減産の可能性/公表予定の公表方法、公表時間の変更は問題
2016年02月29日
1.生産は3ヵ月ぶりの上昇も、予測指数の伸びを大きく下回る
2.1-3月期は再び減産の可能性
製造工業生産予測指数は、16年2月が前月比▲5.2%、3月が同3.1%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(1月)、予測修正率(2月)はそれぞれ▲2.9%、▲4.0%と大幅なマイナスとなった。
予測指数を業種別に見ると、輸送機械が2月に前月比▲12.4%の急減産となった後、3月が同13.0%の大幅増産となっている。これは、トヨタがグループ企業の爆発事故で一部の部品確保が難しくなったため、2月に国内全車両工場の生産を一時的に停止したことが大きく影響しているとみられる。3月には大幅増産となっているため、事故の影響は一時的にとどまりそうだ。
一方、情報通信機械は2月が前月比19.4%、3月が同3.1%の大幅増産計画となっているが、1月の実現率が▲18.4%、2月の予測修正率が同▲3.0%と生産計画の大幅下方修正が続いているため、実際の生産はこれを大きく下回る可能性が高い。
16年1月の生産指数を2、3月の予測指数で先延ばしすると、16年1-3月期は前期比▲0.3%となる。鉱工業生産は15年10-12月期に前期比0.5%と3四半期ぶりの増産となったが、生産計画の下方修正が続いていることを合わせて考えると、16年1-3月期は再び減産となる可能性が高まった。
予測指数を業種別に見ると、輸送機械が2月に前月比▲12.4%の急減産となった後、3月が同13.0%の大幅増産となっている。これは、トヨタがグループ企業の爆発事故で一部の部品確保が難しくなったため、2月に国内全車両工場の生産を一時的に停止したことが大きく影響しているとみられる。3月には大幅増産となっているため、事故の影響は一時的にとどまりそうだ。
一方、情報通信機械は2月が前月比19.4%、3月が同3.1%の大幅増産計画となっているが、1月の実現率が▲18.4%、2月の予測修正率が同▲3.0%と生産計画の大幅下方修正が続いているため、実際の生産はこれを大きく下回る可能性が高い。
16年1月の生産指数を2、3月の予測指数で先延ばしすると、16年1-3月期は前期比▲0.3%となる。鉱工業生産は15年10-12月期に前期比0.5%と3四半期ぶりの増産となったが、生産計画の下方修正が続いていることを合わせて考えると、16年1-3月期は再び減産となる可能性が高まった。
3.公表ルール(公表予定の公表方法、公表時間の変更)の再考を
現時点で、消費者物価指数、家計調査、貿易統計など主要統計の多くが16年度末までの公表予定日が明らかとなっているのに対し、鉱工業指数(速報)の公表予定日は3/30(16年2月分)までしか公表されていない(確報は4/15の16年2月分まで)。
鉱工業指数の公表予定日が決まらないため、GDP速報(内閣府)の公表日も6/8(16年1-3月期2次速報)までしか公表されていない(昨年までは、この時期に翌年度中の公表予定日が公表されていた)。GDP速報(1次速報)の公表日は、『土日・祝日を除き、(1)「鉱工業指数(速報)」の公表日(当該四半期の3ヵ月目、以下同じ)から10日後、(2)「貿易統計(輸出確報)」の公表日の10日後、(3)「消費者物価指数」の公表日から11日後、のうち最も遅い日付までに公表』というルールで決められるため、鉱工業指数の公表日が決まらなければ、GDP速報の公表日も決まらないのだ。
言うまでもなく、鉱工業指数やGDP統計は景気動向を把握する上で極めて重要な指標であり、その結果もさることながら、その統計がいつ公表されるかも市場関係者にとっては重要な情報だ。結果によってマーケットが大きく動く可能性もあるため、重要統計の公表予定日をもとに業務スケジュールを立てている市場関係者も少なくないだろう。
筆者が経済産業省にヒアリングしたところ、「これまで当該月終了から約1ヵ月半後に公表していた「鉱工業出荷内訳表」の公表を前倒し、鉱工業指数(速報)と同時に公表することを検討しているが、新たな試みであるため、先の公表日を決めることができない。当面は鉱工業指数(速報)の公表時に翌月分(速報、確報)の公表日を公表する」とのことだった。確かに鉱工業出荷内訳表の公表早期化自体は望ましいことだが、鉱工業指数の公表日が確定しないデメリットのほうが大きいように思われる。
米国、ユーロ圏、英国、中国の現時点における公表予定日を確認すると、概ね16年末までの公表日が明らかとなっており、日本だけが公表予定日の期間が極端に短くなっていることが分かる(下表参照)。
鉱工業指数の公表予定日が決まらないため、GDP速報(内閣府)の公表日も6/8(16年1-3月期2次速報)までしか公表されていない(昨年までは、この時期に翌年度中の公表予定日が公表されていた)。GDP速報(1次速報)の公表日は、『土日・祝日を除き、(1)「鉱工業指数(速報)」の公表日(当該四半期の3ヵ月目、以下同じ)から10日後、(2)「貿易統計(輸出確報)」の公表日の10日後、(3)「消費者物価指数」の公表日から11日後、のうち最も遅い日付までに公表』というルールで決められるため、鉱工業指数の公表日が決まらなければ、GDP速報の公表日も決まらないのだ。
言うまでもなく、鉱工業指数やGDP統計は景気動向を把握する上で極めて重要な指標であり、その結果もさることながら、その統計がいつ公表されるかも市場関係者にとっては重要な情報だ。結果によってマーケットが大きく動く可能性もあるため、重要統計の公表予定日をもとに業務スケジュールを立てている市場関係者も少なくないだろう。
筆者が経済産業省にヒアリングしたところ、「これまで当該月終了から約1ヵ月半後に公表していた「鉱工業出荷内訳表」の公表を前倒し、鉱工業指数(速報)と同時に公表することを検討しているが、新たな試みであるため、先の公表日を決めることができない。当面は鉱工業指数(速報)の公表時に翌月分(速報、確報)の公表日を公表する」とのことだった。確かに鉱工業出荷内訳表の公表早期化自体は望ましいことだが、鉱工業指数の公表日が確定しないデメリットのほうが大きいように思われる。
米国、ユーロ圏、英国、中国の現時点における公表予定日を確認すると、概ね16年末までの公表日が明らかとなっており、日本だけが公表予定日の期間が極端に短くなっていることが分かる(下表参照)。
現在、日本の政府統計は公表日程の公表ルールが府省によってバラバラとなっている。その多くは1月末頃に翌年度1年分の公表予定を公表することになっているが、この方法の難点は年度末に近づくにつれて公表予定日の期間が極端に短くなることだ。
一方、日本銀行は6ヵ月毎に先行き1年分の統計公表日程を公表している。直近では15年12月25日に16年1月~12月の公表予定を公表、次回は16年6月30日に16年7月~17年6月を公表予定となっている。この方法であれば最短でも6ヵ月先(最長では12ヵ月先)の公表予定を知ることができる。統計利用者にとっては公表予定日も重要な情報であり、政府統計も日銀方式の公表日程の公表ルールを採用すべきと考える。
また、経済産業省は本日(2/29)、16年4月(16年3月速報分)以降の公表時間を、現在の午前8時50分から午後3時30分に変更すると公表した。かつて、日本の経済統計は午後に公表されるものが多かったが、その結果が日本の金融市場で適正に消化されるように、現在では金融市場が開く前の午前8時50分(総務省統計局の消費者物価指数、家計調査などは午前8時30分)に公表することが一般的になっている。今回の公表時間の変更はこれに逆行する動きであり、大きな問題だ。
一方、日本銀行は6ヵ月毎に先行き1年分の統計公表日程を公表している。直近では15年12月25日に16年1月~12月の公表予定を公表、次回は16年6月30日に16年7月~17年6月を公表予定となっている。この方法であれば最短でも6ヵ月先(最長では12ヵ月先)の公表予定を知ることができる。統計利用者にとっては公表予定日も重要な情報であり、政府統計も日銀方式の公表日程の公表ルールを採用すべきと考える。
また、経済産業省は本日(2/29)、16年4月(16年3月速報分)以降の公表時間を、現在の午前8時50分から午後3時30分に変更すると公表した。かつて、日本の経済統計は午後に公表されるものが多かったが、その結果が日本の金融市場で適正に消化されるように、現在では金融市場が開く前の午前8時50分(総務省統計局の消費者物価指数、家計調査などは午前8時30分)に公表することが一般的になっている。今回の公表時間の変更はこれに逆行する動きであり、大きな問題だ。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2016年02月29日「経済・金融フラッシュ」)
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