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インドの生命保険市場(6)-インドの生命保険会社の経営効率や収益性・健全性等の状況はどのようになっているのか-
中村 亮一
4―健全性等の状況
責任準備金の計算基礎については、全社統一の計算基礎率が定められているわけではない。毎年度末決算において、それぞれの会社の状況を踏まえて決定されるため、各社毎に異なっている。ロック・フリー方式1で定められるため、契約毎に毎年の計算基礎率が変化することにもなる。以下では、代表的な計算基礎である、予定利率と予定死亡率の状況について、報告する。
(1)予定利率
個人生命保険(有配当)契約の場合の水準について、各社の状況を見てみると、民間の4社に比較して、LICが相対的に高い予定利率を採用している。
LICの予定利率については、商品毎に異なっており、無配当商品では有配当商品よりも低い予定利率を採用している。これは、一般的に、有配当と無配当のファンドの期待利回りや配当によるバッファー的要素を反映したもの、と説明されているようである。
5―EV(Embedded Value)の公表
ここでIEV(Indian Embedded Value)、というのは、インド・アクチュアリー会が作成しているアクチュアリー実務基準に基づいており、基本的には資産と負債の市場整合的な評価を行うMCEVと調和している方式である。
これによれば、各社の新契約マージンは13%~24%の範囲にある。
6―まとめ
インドの生命保険市場は、大きな潜在力を有し、今後さらなる成長が期待できる市場であるが、市場の変化に対応して、これまで、各種の保険監督規制の改革等が行われてきている。現在も、2015年4月の保険法の改正を受けて、各種の監督規制の改正が進められている。さらには、国際的な監督規制や会計基準の動向も踏まえて、財務の健全性に関する改革も検討されている。これらについては、その内容が固まった段階等適当な時期に別途報告することとしたい。
いずれにしても、こうした環境下で、生命保険会社は、商品開発とチャネルの改革、リスク管理体制の充実等の課題に取り組み、経営効率化を進めてきている。外資出資規制の改正や再保険会社の規制緩和を通じて、外資系保険会社の進出が促進されることで、さらなる生命保険市場の充実が図られ、競争が激化していくことも想定されている。
このようにインドの生命保険市場については、今後もダイナミックに変化していくことが想定されており、その動向は極めて注目されるものであることから、引き続き注視していくこととしたい。
中村 亮一
研究・専門分野
(2016年01月18日「基礎研レター」)
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