2016年01月18日

インドの生命保険市場(6)-インドの生命保険会社の経営効率や収益性・健全性等の状況はどのようになっているのか-

保険研究部 取締役   中村 亮一

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1―はじめに

これまでのレターで、インドの生命保険市場全体の一般的な状況、昨今のインドにおける保険監督規制を巡る状況、財務関係を中心とした保険監督規制の動向等について、報告してきた。

今回のレターでは、国営のLIC(Life Insurance Corporation of India)及び収入保険料で上位の外資系生命保険会社の、経営効率や収益性・健全性等の状況について、報告する。
 

2―経営効率の状況

以下においては、国営で最大の生命保険会社であるLICと、民間の外資系生命保険会社のうち収入保険料で上位の4社について、2014年度決算(2015年3月末)ベースの各社のPublic Disclosures資料の数値に基づいて報告する(直近では、2015年度上半期(2015年9月末)の数値も報告されているが、会社の状況を見る上では、大きな差異はないことから、より豊富なデータが入手可能な年度末決算ベースの数値に基づくこととする。なお、各社の報告数値のベースが、必ずしも統一されていないことや、例えば、有効数字の取り方も会社によって異なっている(小数点以下の有効数字について、0桁、1桁、2桁の会社が混在している)点は、ご理解いただきたい)。

1|継続率
保険契約の13月目と25月目の継続率(年換算保険料ベース)の過去5年間の推移は、次ページの図表の通りである。継続率は、商品・販売チャネル等によっても、大きく異なるが、これらの合計数値として、会社全体の数値が示されている。さらには、各社の算出ベースも、必ずしも統一されているとは限らない。従って、会社間で水準を比較する場合には注意が必要となる。ただし、これらを考慮した上でも、全体数値としては、概ね13月目継続率が70%~80%、25月目継続率が60%~70%の水準となっている。

各社とも、継続率の改善は大きな課題であり、監督当局であるIRDAI(Insurance Regulatory and Development Authority of India)も注視しているが、これらの全体数値を見る限りにおいては、未だ大きな改善が見られる状況にはなっていない模様である。
 
継続率(13月目)年換算保険料ベース/継続率(25月目)年換算保険料ベース
2|事業費効率
事業費効率の推移は、以下の図表の通りである。基本的には、民間の保険会社については、規模の拡大に伴い、事業費率が低下していくことが期待されている。
 
総事業費率(対保険料)/手数料(コミッション)率(対保険料)/事業費率(対保険料)
3|運用利回り
各社の運用利回りの推移を示したのが下の図表である。これは、基本的に、契約者ファンド(ノン・リンク型・有配当)に対するものであり、LICの数値のみが、契約者ファンド平均数値となっている。

これによれば、金利水準を反映して、各社とも引き続き高い運用利回りが確保されている状況にある。

他の先進諸国とは異なり、引き続き7%台の利回りを確保しており、現状では低金利に悩まされているという状況ではない。
運用利回り/インドの10年国債利回りの推移(%)

3―収益性の状況

1|会社全体の収益状況
2014年度決算では、23の民間保険会社のうち19の保険会社が利益を計上している。

LICと民間の4社の収益状況を比較した場合、商品や販売チャネルの違い等から、保険料との比較での収益性は大きく異なる状況となっている。さらには、責任準備金評価のための計算基礎の設定によっても、利益水準は影響を受ける形になっている。
 
利益(税引後)の状況
2|商品種類別の収益状況
なお、例えばICICI Prudentialは、商品種類別の収益状況も開示しており、それが以下の図表である。これによると、年金保険(リンク型)が高い収益を上げる形になっている。
 
ICIC Prudentialの剰余の商品種類別内訳
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保険研究部   取締役

中村 亮一 (なかむら りょういち)

研究・専門分野
保険会計・計理

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