コラム
2015年12月29日

教育制度改革と一億総活躍社会 どう育てる!豊かな「想像力」と「創造力」

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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文部科学省は、2020年度に現在の大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)を実施するという。先日、同省の高大接続システム改革会議が新テストの問題例を公表した。これまでのように暗記を中心とした知識を画一的にマークシート式で量るのではなく、教科横断的なテーマを思考のプロセスを含めて記述式で解答する内容だ。評価の重点を知識量から思考力や判断力、表現力などに移し、様々な観点から受験生を評価するとしている。

しかし、新制度の導入に当たり課題も多い。最も懸念されることは、解答を採点評価するのに莫大な時間とコストが掛かる上に、公正な評価をどう行うかである。設問の趣旨が優れていても、それに対する解答をきちんと評価し、適切な学生の選抜につなげることができるのか不安も残る。成果主義が普及した企業でも、成果の定量化が困難で定性的評価が重要な意味を持つ場合、評価者の能力次第では、公正で効果的な評価が難しくなるのと同じだ。

日本の将来を牽引する有望な人材を育てるためには、大学入試の選抜方法も勿論だが、教育の内容そのものがより重要だ。高校教育が大学入試を、大学教育が就職試験を目標としているだけでは多様で優秀な人材は育たない。また教育や科学技術が現実社会と乖離し、教育界が一種の聖域として社会から分断されてはならない。入試制度改革とともに、大学や高校の教育内容の鮮度が落ちていないか不断の見直しを行い、改善するための教員の再教育も必要だろう。

本格的な人口減少時代を迎え、政府は「一億総活躍社会」を実現するため「介護離職ゼロ」社会を目指している。しかし、成熟時代の国家の人口規模は、単純に経済成長力の指標にはならない。何故なら、さらに付加価値の高い社会を創り国家が成長するためには、単なる労働力人口の確保にとどまらず、多様な人々の労働参加を促進し、国民の高い生産性を実現することが必要だからだ。

今後、コンピュータや人工知能の発達は、われわれの問題解決能力を飛躍的に高め、人間の能力の多くを代替できるようになる。一方、われわれの問題発見力や課題設定力は一層重要になるだろう。人口減少時代の「一億総活躍社会」とは、全ての人が均一の既存分野で平均的に活躍するのではなく、様々な分野で一人ひとりが独自の輝きを放つ社会を意味する。多くの人の豊かな「想像力」と「創造力」を育み、その多様性をどのように拡げてゆくのか、今、日本の教育の新たなあり方が問われている。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2015年12月29日「研究員の眼」)

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