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- 2015~2017年度経済見通し~15年7-9月期GDP2次速報後改定
2015年12月08日
2. 実質成長率は2015年度1.1%、2016年度1.6%、2017年度0.0%
(2015年度の成長率見通しを上方修正)
2015年7-9月期のGDP2次速報を受けて、11/17に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2015年度が1.1%、2016年度が1.6%、2017年度が0.0%と予想する(11/17時点ではそれぞれ0.9%、1.6%、0.0%)。2015年7-9月期の成長率が上方修正されたことを受けて2015年度の見通しを0.2%上方修正した。
2015年7-9月期は民間需要の柱である民間消費、設備投資が揃って増加し、2四半期ぶりのプラス成長となった。雇用・所得環境の改善に伴う民間消費の増加、好調な企業収益を背景とした設備投資の回復は先行きも続く可能性が高いが、民間在庫品増加の実額がプラスへと修正されたことで、GDP統計上は先行きの在庫調整の進展が成長率を押し下げる形となる。10-12月期の成長率は前期比年率0.8%と7-9月期の同1.0%から若干低下することが予想される。
また、公的固定資本形成は2014年度補正予算の効果が一巡する中、2015年度末にかけて編成が予定されている補正予算ではTPPや子育て支援策が中心となり、公共事業の大幅な積み増しは見込めない。このため、公的固定資本形成は減少傾向が続く可能性が高い。
さらに、中国をはじめとした新興国経済の減速という循環的な要因に加え、生産拠点の海外シフトによって海外経済の成長や円安による恩恵を受けにくいという構造要因が引き続き輸出の下押し要因となるため、外需による成長率の押し上げは期待できない。当面は消費、設備投資を中心とした国内民間需要が経済成長の中心となるだろう。
2015年7-9月期のGDP2次速報を受けて、11/17に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2015年度が1.1%、2016年度が1.6%、2017年度が0.0%と予想する(11/17時点ではそれぞれ0.9%、1.6%、0.0%)。2015年7-9月期の成長率が上方修正されたことを受けて2015年度の見通しを0.2%上方修正した。
2015年7-9月期は民間需要の柱である民間消費、設備投資が揃って増加し、2四半期ぶりのプラス成長となった。雇用・所得環境の改善に伴う民間消費の増加、好調な企業収益を背景とした設備投資の回復は先行きも続く可能性が高いが、民間在庫品増加の実額がプラスへと修正されたことで、GDP統計上は先行きの在庫調整の進展が成長率を押し下げる形となる。10-12月期の成長率は前期比年率0.8%と7-9月期の同1.0%から若干低下することが予想される。
また、公的固定資本形成は2014年度補正予算の効果が一巡する中、2015年度末にかけて編成が予定されている補正予算ではTPPや子育て支援策が中心となり、公共事業の大幅な積み増しは見込めない。このため、公的固定資本形成は減少傾向が続く可能性が高い。
さらに、中国をはじめとした新興国経済の減速という循環的な要因に加え、生産拠点の海外シフトによって海外経済の成長や円安による恩恵を受けにくいという構造要因が引き続き輸出の下押し要因となるため、外需による成長率の押し上げは期待できない。当面は消費、設備投資を中心とした国内民間需要が経済成長の中心となるだろう。
実質GDPは2016年に入ってから年率1%台前半の伸びを続けた後、2016年度後半は2017年4月に予定されている消費税率引き上げ(8%→10%)前の駆け込み需要によって成長率が大きく高まることが予想される。ただし、その規模は前回(2014年4月)よりも小さくなることが見込まれる。税率引き上げ幅が前回よりも小さいこと、駆け込み需要が発生しやすい住宅、自動車など買い替えサイクルの長い高額品については、前回の税率引き上げ時にすでに前倒しで購入されている割合が高いと考えられるためである。
当研究所では2014年4月の消費税率引き上げ前後の駆け込み需要とその反動の規模を実質GDP比で0.6%程度と試算しているが、2017年4月の税率引き上げ時の駆け込み需要とその反動は実質GDP比で0.3%程度と前回よりも小さくなることを想定している。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は2013年4月以降、前年比で上昇を続けてきたが、原油価格下落に伴うエネルギー価格の低下を主因として2015年8月からは3ヵ月連続の下落となっている。一方、物価上昇がある程度継続してきたこともあり、かつてに比べ企業の値上げに対する抵抗感は小さくなっている。実際、食料、日用品、サービスなど幅広い品目で値上げが行われており、消費者物価指数の調査対象品目を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、上昇品目数の割合が7割近くなっている。コアCPI上昇率がマイナスとなる中で、物価上昇の裾野はむしろ広がっている。
また、原油価格下落の効果もあって先行きは潜在成長率を上回る成長が続くため、需給面からの物価押し上げ圧力も徐々に高まっていくことが見込まれる。当研究所が推計した需給ギャップは消費税率引き上げ直前の2014年1-3月期に小幅なプラスに転じた後、消費税率引き上げ後は成長率の落ち込みによってマイナス圏で推移している。先行きについては景気の持ち直しに伴い需給バランスの改善傾向が続き、2016年度末にかけては消費税率引き上げ前の駆け込み需要によって成長率が押し上げられることもあり、需給ギャップは再びプラス圏に浮上すると予想している。
コアCPI上昇率は2015年末までには再びプラスとなり、原油価格下落の影響一巡と駆け込み需要に伴う高成長が重なる2016年度後半には1%程度まで伸びを高めるだろう。ただし、2017年度入り後は消費税率引き上げに伴う景気減速によって需給面からの物価上昇圧力が弱まるため、コアCPI上昇率は2%に達する前に鈍化し始めるだろう。
コアCPI上昇率は2015年度が前年比0.1%、2016年度が同0.9%、2017年度が0.8%(消費税率引き上げの影響を除く)と予想する。
当研究所では2014年4月の消費税率引き上げ前後の駆け込み需要とその反動の規模を実質GDP比で0.6%程度と試算しているが、2017年4月の税率引き上げ時の駆け込み需要とその反動は実質GDP比で0.3%程度と前回よりも小さくなることを想定している。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は2013年4月以降、前年比で上昇を続けてきたが、原油価格下落に伴うエネルギー価格の低下を主因として2015年8月からは3ヵ月連続の下落となっている。一方、物価上昇がある程度継続してきたこともあり、かつてに比べ企業の値上げに対する抵抗感は小さくなっている。実際、食料、日用品、サービスなど幅広い品目で値上げが行われており、消費者物価指数の調査対象品目を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、上昇品目数の割合が7割近くなっている。コアCPI上昇率がマイナスとなる中で、物価上昇の裾野はむしろ広がっている。
また、原油価格下落の効果もあって先行きは潜在成長率を上回る成長が続くため、需給面からの物価押し上げ圧力も徐々に高まっていくことが見込まれる。当研究所が推計した需給ギャップは消費税率引き上げ直前の2014年1-3月期に小幅なプラスに転じた後、消費税率引き上げ後は成長率の落ち込みによってマイナス圏で推移している。先行きについては景気の持ち直しに伴い需給バランスの改善傾向が続き、2016年度末にかけては消費税率引き上げ前の駆け込み需要によって成長率が押し上げられることもあり、需給ギャップは再びプラス圏に浮上すると予想している。
コアCPI上昇率は2015年末までには再びプラスとなり、原油価格下落の影響一巡と駆け込み需要に伴う高成長が重なる2016年度後半には1%程度まで伸びを高めるだろう。ただし、2017年度入り後は消費税率引き上げに伴う景気減速によって需給面からの物価上昇圧力が弱まるため、コアCPI上昇率は2%に達する前に鈍化し始めるだろう。
コアCPI上昇率は2015年度が前年比0.1%、2016年度が同0.9%、2017年度が0.8%(消費税率引き上げの影響を除く)と予想する。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2015年12月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
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