コラム
2015年12月22日

「夫婦別姓」最高裁判決を読んで-家族観に関する多様な議論を!

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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12月16日、最高裁大法廷は「夫婦同姓は合憲」との判断を下した。裁判官の多数意見として、男女が婚姻関係を結ぶ際に、民法が規定する夫か妻のいずれかの姓を選ぶ夫婦同姓は、日本社会に定着しており、家族は社会の基礎的な集団単位として呼称をひとつにすることは合理的だと述べられている。

また、婚姻により大多数の夫婦が夫の姓を選択しているが、どちらの姓を選ぶのかは夫婦間の協議によるもので男女差別には当たらず、結婚による改姓で自己アイデンティティの喪失や社会的不利益を受けることは否定できないが、「通称使用」が広まることで不利益は緩和されるとしている。

一方、今回の判決は15人の裁判官のうち全女性裁判官3名を含む5名が「違憲」と判断したが、そのひとりは「夫婦同姓による不利益を緩和する選択肢として通称使用の広がりを挙げるが、法制化がないままでは合理性の根拠とならない」と述べている。

また、夫婦別姓を認めない理由として、夫婦別姓が家族の一体感を損なうとみられることや子どもへの悪影響が指摘されることがあるが、それには根拠がないとする反対意見もあった。今回の判決は選択的夫婦別姓制度に合理性がないと断ずるものではなく、この種の制度の在り方は、社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、国会で議論・判断されるべきだとしている。

今年11月、私は担当する大学の家族論の授業のテーマに「夫婦別姓」を採り上げ、最高裁判決が出た翌日の授業で学生の意見を聞いた。「夫婦同姓は合憲」とする判決を支持する学生が多く、彼(女)らの家族観や結婚観は意外と保守的に思われた。

結婚経験のない学生にとっては現実問題として受け止めることが難しかったのかもしれない。一方、判決を下した裁判官の構成が、女性3名と男性12名で、全体の年齢層が高いことから、裁判官の家族観や結婚観に偏りはないのかと疑問を呈する学生もいた。

世界的には同性婚の広がりなどがみられるように結婚観が多様になり、家族のあり方として夫婦が同じ姓を名乗ることを、全ての夫婦に対して法律が一律に規定する国は少ない。今後、「夫婦別姓」に関する議論は、司法から国会へ議論の場が移されるが、そこでは多様な価値観に基づく議論を大いに期待したい。

少子高齢化という人口構造の変化がシルバー民主主義をもたらし、社会制度づくりの意思決定の議論に歪を与えてはならない。安倍政権が主唱する「1億総活躍社会」の実現を目指すことは、即ち、性別や年齢に偏りのない多様な国民各層の声を、国の重要な政策決定に反映できる社会をつくることではないだろうか。
 

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2015年12月22日「研究員の眼」)

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