2015年10月16日

固定資産税再考~望ましくないこれ以上の負担増~

社会研究部 土地・住宅政策室長   篠原 二三夫

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■見出し

1―はじめに
2―固定資産課税の概要~大きな負担を産んだ7割評価
3―日本の固定資産税の総税収比率はOECD最上位である米国水準まで上昇
4―保有税収の負担増や総税収比率の変化は不動産価格に影響
5―むすびにかえて~今後は経済成長を通じて固定資産税収を確保すべき

■要旨

平成27年税制改正では固定資産税の特例見直しは、アベノミクスの推進という観点から行われなかったが、平成30年度の評価替え時点では増税につながる見直しが行われる可能性がある。

しかし、平成6年度に導入された「7割評価」により、固定資産税負担は既に大きく上昇している。OECDの歳入統計に基づき、保有税収の総税収比率をみると、日本は、OECD加盟国中、最大の水準を持つ米国に次ぐ水準まで上昇している。固定資産税や相続税を含む資産課税の総税収比率場合では、既に米国の水準を上回った。

保有税収の総税収比率や実効税率の上昇は、不動産価格の下落に結びつく。この点は、理論的にもOECD加盟国における保有税収の総税収比率と不動産価格の動きからみても説明できる。

保有税収への依存度が高い米国では、住民革命とも言うべき納税者の反乱により州憲法が改正され、保有税に対するキャッピングが設けられるという歴史的経緯があり、現在も国民にとっての負担は重い。

日本の地方財政は、マクロレベルでみると、米国に次いで保有税に依存している。バブル崩壊によりデトロイト市の財政が破綻した教訓に学べば、今後は固定資産税の総税収比率が高まり、市場に影響を与えるような特例措置の縮減や廃止は望ましくなく、慎重に対応すべきである。

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社会研究部   土地・住宅政策室長

篠原 二三夫 (しのはら ふみお)

研究・専門分野
土地・住宅政策、都市・地域計画、不動産市場

(2015年10月16日「基礎研レポート」)

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