コラム
2015年09月29日

宇宙からのメッセージ-宇宙飛行士・山崎直子さんの講演から

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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先日、宇宙飛行士の山崎直子さんの講演を聞いた。山崎さんは、1999年に国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士候補となり、その後、10年以上にわたる様々な訓練を経て、2010年にスペースシャトルで宇宙に飛び立った。「宇宙へ行く」という夢を実現する軌跡と宇宙空間での貴重な体験を興味深く伺った。話の中には、私たちが地球上で幸せに暮らすための沢山のヒントがあった。

まず、山崎さんが見せてくれた写真は、ISS内で撮ったクルーの集合写真だった。中央にみんなが頭を集めて、放射状に並んでいる。普通に立っている人もいれば、逆立ち状態に見える人もいる。しかし、重力のない宇宙では上下を決める座標軸はなく、誰もが普通に立っているのだ。いつも地上で見慣れた上下を固定した光景も、軸を任意に回転すると全く異なるものになるのだとわかる。

宇宙飛行士は、頭脳明晰で判断力に優れた人というイメージがあるが、チームワークで行う宇宙船活動では他のクルーとのコミュニケーションが極めて重要になる。上下のない宇宙船内では相手から見て上(頭上)方向などと表現するそうだが、曖昧な表現は重大事故につながる恐れがあり、常に相手の立場に立って正確に意思伝達を図ることが求められるのだろう。

山崎さんがISSから撮った地球は、空間にぽっかり浮かんだ美しい瑠璃色の天体だった。地球は青い海で覆われているが、水の量は意外と少ないそうだ。宇宙船内では1日3リットルの水ですべての生活を賄うというが、尿も再利用するほどの省資源生活を体験すると、貴重な地上の水に感謝し、一層大切にしたいと思うようになる、という彼女の言葉には強い説得力があった。

また、国際宇宙ステーション事業のように多くの国が国際協力のもとにプロジェクトを推進できるのは、国際平和のおかげだと述べると同時に、このようなプロジェクトがあることで、国際間の摩擦が大きな紛争に発展することを防ぐことにもつながるのではないかという発言にも大いに納得した。

山崎さんはとても誠実で謙虚な方だと思う。話の随所に感謝の言葉が聞かれた。それは宇宙開発が、クルーはじめ地上スタッフ、多くの宇宙関係者、そして家族の支援の上に成り立っているからだろう。講演会の最後の質疑応答の時、会場後方の人が質問すると、山崎さんは壇上から降りて質問者の近くに歩み寄って回答されていた。彼女の宇宙からのメッセージには、他者を思うコミュニケーション、地球や自然への感謝、地球を美しいと感じる心の大切さが込められていた。地球が美しく見えるのは、そこにかけがえのない生命が存在するからだということが、ひしひしと伝わってくるのだった。



 
 (参考)  研究員の眼『「研究員の眼」~眼力(めぢから)を鍛える』(2013年7月16日)

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2015年09月29日「研究員の眼」)

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