2015年09月24日

ドル高は幻なのか?~マーケット・カルテ10月号

基礎研REPORT(冊子版) 2015年10月号

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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ドル円相場は世界的な株式市場の混乱に伴うリスク回避の円買いに加え、米国の9月利上げ見送りを受けて低迷が続いており、足元では120円付近で推移している。

今後もしばらくはドルの上値が重い展開が予想されるが、今後3ヵ月という期間では、やはり円安ドル高が進むだろう。ドル高シナリオは幻ではないと見ている。FRBは今回利上げを見送ったものの、年内利上げ方針は維持しており、年末に実行に移されるだろう。一方、日本では、予想物価上昇率や需給ギャップといった日銀の重視する「物価の基調」が秋以降もさほど改善せず、追加緩和観測がじわりと高まりそうだ。日米金融政策の格差が再び意識され、円安ドル高圧力が次第に高まっていくと見ている。現状、投機筋の円売りポジションは大きく縮小しているため、これが再構築されることも円安をサポートする。ただし、中国不安や新興国からの資金流出への警戒は今後も高まりやすいだけに、リスク回避的な円高局面に注意が必要な状況は続く。

ユーロ円相場は、ECBによる量的緩和長期化・拡大観測などからユーロが下落し、足元は134円台にある。ユーロ円は長らく方向感を欠いているが、それは景気や金融政策の状況が、日本とユーロ圏では大差がないためだ。今後もこの構図は変わらず、今後3ヵ月のユーロ円は横ばい圏での推移が予想される。

長期金利は株安に伴う安全資産選好と利上げ先送りに伴う米金利低下によって、足元では0.3%台前半に低下している。ただし、今後3ヵ月では、米利上げに伴う米金利上昇に伴い、水準を切り上げると見ている。ただし、日銀による追加緩和観測が台頭することもあり、大幅な金利上昇は見込みがたい。

(執筆時点:2015/9/24)

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経済研究部   シニアエコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

(2015年09月24日「基礎研REPORT(冊子版)」)

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