2015年09月18日

【9月米FOMC】海外経済の不透明感の高まりを理由に政策金利は据え置き

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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【要旨】

1.金融政策の概要:政策金利は据え置き

米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が9月16-17日(現地時間)に開催された。政策金利引上げ開始も市場の一部では予想されていたが、今月は見送られた。声明文では、設備投資に関する評価が上方修正されたたものの、最近の海外経済や金融市場の動向が経済活動に影響し、短期的に物価が下振れする可能性が指摘された。それ以外に声明文の目立った変更はなく、政策金利引上げ時期を示唆する文言も盛り込まれなかった。今回の政策決定に際しては、リッチモンド連銀のラッカー総裁が0.25%の利上げを主張して反対した。
FOMC参加者の見通しは、成長率および物価見通しが概ね下方修正される一方、失業率は上方修正(失業率は低下)された。政策金利の見通しは引上げ幅が下方修正された。

2.金融政策の評価:12月の政策金利引上げを予想

今回のFOMC会合では当研究所の予想通り政策金利の変更は見送られた。会合後の記者会見でイエレン議長は、労働市場の改善継続など、国内経済の回復に自信を示す一方、中国や新興国経済への懸念を背景に、前回(7月)会合以降の株価下落、ドル高、信用スプレッドの拡大により金融市場が引き締まっていることを示した。このため、同議長は経済活動が制約され短期的に物価が下振れする可能性を利上げ見送りの理由に挙げた。
元FRB副議長のコーン氏は以前、「金融政策決定はデータ次第」とFRBが説明していることに対して、それでは市場が毎月の経済指標で一喜一憂し、金融市場の変動性が大きくなると懸念していた。今回の記者会見では、それに呼応するかのようにFRBは経済見通しを基に意思決定しており、特定の経済指標や日々の金融市場によって判断が左右される訳ではないことを強調した。
一方、同議長はほとんどのFOMC参加者が年内利上げを予想しているとして、依然として年内利上げに意欲を示した。さらに、政策金利引上げ時期については、臨時の記者会見を開くことで10月の会合でも可能であることを示したが、開始時期に過剰反応せずその後の利上げペース等を総合的に判断すること求めた。
当研究所では、物価面からは政策金利引上げを急ぐ必要はないと判断しているものの、米国経済は底堅く推移しており、小幅な政策金利引上げであれば可能と考えている。もっとも、中国経済を中心とする海外経済への懸念が早期に解消することは難しいほか、資本市場の動向を見極めるのにも時間を要するため、利上げ開始は10月ではなく、12月と予想している。

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2015年09月18日「経済・金融フラッシュ」)

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