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- アジア新興国・地域の経済見通し~輸出不振に加え、原油価格下落の一巡による物価上昇で内需は弱含みへ
2015年09月18日
【要旨】
- アジア新興国・地域の2015年4-6月期の成長率は前年同期比+5.2%と、前期の同5.7%から低下した。底堅い個人消費や公共投資の拡大など内需は景気を支えたが、中国経済の減速を受けたアジア向けの輸出不振が景気減速をもたらした。
- インフレ率は、国際商品市況の下落を受けて昨年後半から大きく低下しており、4-6月期も緩やかな低下傾向が見られた。しかし、先行きは原油価格下落の一巡によって物価の下押し圧力が後退するほか、足元の通貨安が輸入インフレを促すことから、インフレ率は上昇に転じるだろう。
- 金融政策は、4-6月期に韓国・タイ・インドが利下げしたものの、その後は国際金融市場の混乱から様子見姿勢が続いている。今後はインフレ率の上昇と米国の利上げに対する警戒感から緩和余地は限られるだろう。
- 先行きの成長率は当面横ばい圏で軟調に推移し、来年は回復に向かうと見ている。米国経済が堅調を維持するなかで欧州経済が持ち直し、輸出は来年から上向くだろう。内需は拡張的な政府予算の執行の改善が景気を支えるものの、インフレ率の上昇や景気減速による企業と消費者のマインドの悪化を受けて民間部門を中心に弱含むだろう。
下方リスクとしては、中国経済の更なる減速や欧州経済の回復の遅れなど外部環境の悪化による輸出低迷、また海外投資家のリスク許容度の低下によるアジア新興国・地域からの資金流出によって株安・通貨安を通じた実体経済への悪影響が懸念される。
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
(2015年09月18日「Weekly エコノミスト・レター」)
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