コラム
2015年08月11日

東京マラソンとクラウドファンディング-“小さな志”を大きなムーブメントに!

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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8月1日から「東京マラソン2016」の一般参加者の募集が始まった。来年10回目を迎える同大会は、新たな10年に向けて大会ロゴをリニューアルしたり、外国人ランナーおもてなしの多言語通訳ボランティアを募集したりするという。マラソン定員も36,500人に増員されたが、受付初日にすでに定員を超えた。今回も恐らく10倍を超える申込みがあり、実際に出走できる人はとても幸運な人だろう。

同大会は、2011年からランナーやボランティア、応援する人の“心をつなぐ”をコンセプトとし、『走れる幸せを誰かの幸せにつなげよう』と“Run with Heart”と称する東京マラソンチャリティを展開している。なかでも「チャリティランナー制度」は、東京マラソン財団と協働する13のチャリティ事業団体の中から、自ら選んだ団体に10万円以上寄付すると先着3,000名が出走できるというものだ。

寄付先の団体の活動内容は、障がい者スポーツ支援、難病の子ども支援、森林の保護、防災強化や震災復興支援など多岐に渡る。同制度では、寄付金を自ら拠出してもよいがクラウドファンディングを活用することも可能だ。すなわち、自らが支援する寄付先を選定し、その団体を支援したいという“想い”を家族や友人、知人に伝え、寄付を呼びかけるのである。これらサポーターからの寄付金を10万円以上集めることに成功すれば、チャリティランナーとして出走することができるのだ。

この制度では、資金力のない人も、周囲の人の共感を集めることにより出走可能になる。篤志家の大きな額の寄付も重要だが、インターネットを介して多くの人の“小さな志”を集約し、社会の大きな共感とムーブメントを巻き起こすことに価値があるのではないだろうか。東京マラソンにおいて、さらに多くの共感を呼び、ランナー全員が“Run with Heart”を体現するにはどうすればよいだろう。

大阪マラソンのチャリティでは、全参加者の参加費の一部を寄付に充てる仕組みが採られているが、寄付をすべてのランナーに拡大するためには、一層の寄付先の多様性を確保することが必要だろう。例えば、東京マラソン財団が、寄付を集めたいNPOなどを公募し、選定・承認された団体が寄付先になり、ランナーは自分の支援したい団体に寄付金を上乗せして参加費を支払うというのはどうだろう。

世界の著名な市民マラソン大会では巨額の寄付金が集まることも珍しくない。それは社会的認知度のバロメーターでもある。ランナーをはじめボランティア、サポーターなどマラソンに関わる多くの『走り・支え・応援する』人たちの“小さな志”が社会の大きなムーブメントになる時、東京マラソンのスローガンである『東京がひとつになる日。』が実現するのではないだろうか。



 
            研究員の眼『42キロのソーシャルキャピタル~沿道の声援が聞こえる』(2012年11月12日)
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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2015年08月11日「研究員の眼」)

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