2015年07月31日

消費者物価(全国15年6月)~東京都区部のコアCPI上昇率が2年3ヵ月ぶりのマイナス、全国も7月にマイナスへ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPI上昇率はゼロ近傍の推移が続く
・物価上昇品目数の割合は6割を上回る
・全国のコアCPIも7月にマイナスの公算

■要旨

総務省が7月31日に公表した消費者物価指数によると、15年6月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.1%(5月:同0.1%)となり、上昇率は前月と変わらなかった。

消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、6月の上昇品目数は329品目(5月は332品目)、下落品目数は149品目(5月は145品目)となった。上昇品目数は前月から若干減少したが、上昇品目数の割合は62.8%(5月は63.4%)と引き続き60%を上回っている。下落品目数の割合は28.4%(5月は27.7%)となり、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は34.4%(5月は35.7%)であった。食料以外でも衣料、トイレットペーパー、テーマパーク入場料、月謝類など、幅広い品目で値上げが行われている。コアCPI上昇率は前年比でゼロ近傍の動きが続いているが、品目数でみれば上昇品目数が下落品目数を大きく上回っており、物価上昇の裾野は広がっている。

15年7月の東京都区部のコアCPIは上昇率が前月から0.2ポイント縮小し前年比▲0.1%となり、13年4月以来2年3ヵ月ぶりのマイナスとなった。電気代(6月:前年比▲3.6%→7月:同▲6.7%)、ガス代(6月:前年比▲3.3%→6月:同▲7.2%)、ガソリン(6月:前年比▲13.2%→7月:同▲15.2%)、灯油(6月:前年比▲16.0%→7月:同▲17.3%)の全てが前月よりも下落幅が拡大したため、エネルギー価格の下落率が6月の前年比▲5.1%から同▲8.3%へと大きく拡大した。また、これまで上昇ペースの加速が続いていた食料(生鮮食品を除く)は前年比1.4%となり6月の同1.6%から伸びがやや鈍化した。
7月の東京都区部の結果からすれば、7月の全国のコアCPIは13年4月以来、2年3ヵ月ぶりのマイナスとなる可能性が高い。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2015年07月31日「経済・金融フラッシュ」)

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