2015年06月26日

中国経済:4-6月期成長率(予想)~工業部門の不振を背景に6.8%へ鈍化

経済研究部 上席研究員 三尾 幸吉郎

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  1. 中国経済を供給面から見ると、4-5月期の工業生産は第1四半期(1-3月期)の伸びを大幅に下回っている。但し、足元では工業生産や製造業PMIが上向くなど底打ちの兆しもでてきている。一方、非製造業は商務活動指数が低下するなど足元で陰りが見られる。しかし、予想指数が上向くなど将来に対する期待感は依然として高い。
  2. 他方、中国経済を需要面から見ると、個人消費・投資・輸出の3本柱が揃って第1四半期よりも大幅に低い伸びに留まっている。しかし、足元では5月の個人消費・投資に関する景気指標が上向くなど、国内の需要を中心に底打ちの兆しが見られる。
  3. その他の重要な4指標(電力消費量、貨物輸送量、生産者物価、通貨供給量)を見ると、モノの値動きを示す生産者物価は上向いてきたものの、経済活動をする上で欠かせない動力源である電力消費量の動き、モノの移動量を示す貨物輸送量(道路)の動き、おカネの動きを示す通貨供給量(M2)の動きはいずれも下向きで、景気減速を示す指標の方が多い。
  4. 以上の景気10指標を総合的に見た景気評価点(3ヵ月前比で上向きなら1点、下向きなら0点として集計したもの)は、第2四半期に入ると4月は4点、5月は3点と第1四半期より1段階上の“やや減速”に回復、景気失速懸念はやや薄れた。但し、まだ“横ばい”よりも下に位置する減速基調で、景気は下向きのままである(下左図)。
  5. 中国では7月15日(水)に第2四半期(4-6月期)の実質GDP成長率が公表される。第1四半期は前年同期比7.0%増と前四半期から0.3ポイント低下したが、今回はさらに0.2ポイント低下して同6.8%増と予想している。内訳は工業部門が0.4ポイント低下の前年同期比5.7%増、第3次産業は0.1ポイント上昇の同8.0%増と予想している(下右図)。

景気評価点の推移/実質成長率の推移と予測

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経済研究部   上席研究員

三尾 幸吉郎 (みお こうきちろう)

研究・専門分野
中国経済

(2015年06月26日「Weekly エコノミスト・レター」)

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