コラム
2015年06月16日

「健康」と「幸せ」の好い関係-伸ばそう“主観的健康寿命”!

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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今年5月、OECDは加盟34ヶ国にロシアとブラジルを加えた36ヶ国の幸福度(well-being)指標である“Better Life Index:BLI”を公表した。BLIは生活の11分野の指標から構成されており、総合順位で20位になった日本は、「安全」、「所得」、「教育」などの分野で高いスコアを獲得しているが、「ワーク・ライフ・バランス」や「生活満足度」、「健康」などで低い評価となっている。

「ワーク・ライフ・バランス」は、「長時間労働者の比率」と「余暇時間の長さ」で評価されており、日本の順位が低いことは実感できるが、「健康」分野で日本が36カ国中28位というのはやや腑に落ちない。「健康」の内訳を見ると、「平均寿命」が36カ国中1位となる一方、「主観的健康(Self-reported health)」について、日本は「(非常に)良い」と答えた人の割合が最下位になっているのだ。

我が国では、健康増進法に基づき、2000年に『21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)』が始まった。2013年には全面改正が行われ、『健康日本21(第2次)』には健康増進のための基本方向として、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」が掲げられている。幸せに暮らすためには、ただ長生きするだけではなく、誰もが健康寿命(日常生活に制限のない期間)を伸ばすことが重要だからだろう。

日本の平均寿命は、2001年から2010年の間に男性で1.48年、女性で1.37年伸びたが、健康寿命の延びは男性で1.02年、女性で0.97年にとどまっている。つまり、平均寿命と健康寿命の差である「不健康な期間」は、男性で0.46年、女性で0.4年長くなっているのだ。そのため、『健康日本21(第2次)』では、「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」を目標に設定している。

また、目標の実現に当たり「自分が健康であると自覚している期間」についても留意するとしている。“主観的健康寿命”とも言える同期間は、健康寿命を下回っており、その伸びも2001年から2010年までの間に男性で0.35年、女性で0.37年に過ぎない。誰もが加齢による衰え(老化)を経験する超高齢社会では、生活に多少の制限が生じても健康だと自覚できる期間を伸ばすことが重要ではないか。

前述のOECD調査では、幸せになるために重視する条件として、「健康」を挙げる人が多かった。我々が幸せに暮らすために「健康」は大きな要因であり、「健康寿命の延伸」と「不健康な期間の短縮」は極めて重要だ。しかし、高齢化が進むと加齢により健康状態が万全でなくなるのは当然のことだろう。超高齢社会では、客観的な健康寿命を延ばす努力と同時に、なんらかの日常生活の制限があっても、自らが幸せと思える“主観的健康寿命”を伸ばす『ケア社会』の創造が必要ではないだろうか。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2015年06月16日「研究員の眼」)

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