2015年06月16日

【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(14)「年金積立金」より注目が集まる、「赤字補填金」

保険研究部 准主任研究員   片山 ゆき

文字サイズ

■要旨

中国の年金に関する基金の運用は、本筋である年金保険料を積み立てた「基本年金基金」よりも、将来の赤字補填を目的にした「全国社会保障基金」に注目が集まりがちだ。

「基本年金基金」は保険給付を目的としており、保険料のうち、年金の給付などに充てられなかったものを積み立てたもので、日本の「年金積立金」に相当する。
「全国社会保障基金」は、少子高齢化等によって基本年金基金の収支が赤字になった場合の補填を目的に、国が創設した基金である。財源は主に国庫、国有企業の株式売却益、宝くじの収益金で、ここに年金の保険料は含まれていない。

全国社会保障基金の理事会が5月末に発表したところによると、2014年末の総資産額は1兆5356億元、およそ31兆円にのぼる。資産運用による収益額は前年の2倍となる1425億元(約3兆円)、収益率は11.69%と2010年以降5年ぶりの高い水準となった。2014年は、国内の株式相場の指数がおよそ5割上昇するなど好調で、公正価値評価(時価)の変動損益が大幅にプラスになったことが収益の伸びに大きく貢献した。

全国社会保障基金は、基本年金基金の運用のサポートもあるが、それ以外に最近では、逼迫する地方財政への間接的な支援への期待も寄せられている。国務院は、4月、地方政府による自主起債に加えて、債務乗り換え目的の債券発行を許可している。ほぼ同じタイミングで、全国社会保障基金の地方債への投資を解禁したことは、全国社会保障基金を地方債の有力な買い手として期待する、国務院の強力な政治的メッセージが垣間見られる。

53_ext_01_0.jpg

保険研究部   准主任研究員

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の保険・年金・社会保障制度

(2015年06月16日「基礎研レター」)

レポート

アクセスランキング

【【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(14)「年金積立金」より注目が集まる、「赤字補填金」】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(14)「年金積立金」より注目が集まる、「赤字補填金」のレポート Topへ