2015年05月18日

【マレーシア1-3月期GDP】前年同期比+5.6%-駆け込み消費で底堅い成長

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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1.1-3月期は前年同期比+5.6%

マレーシア統計庁は5月15日に2015 年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比+5.6%と、前期(同:+5.7)を下回ったが、Bloomberg調査の市場予想(同+5.5%)を上回った。

マレーシアの実質GDP成長率(需要側、原系列)/マレーシアの実質GDP成長率(供給側)


2.GST導入と原油安を受けて景気減速へ

マレーシア経済は良好な雇用・所得環境の下で個人消費が堅調を維持し、インフラや商業施設などの開発が活況を呈する建設投資を中心に民間投資も好調で、1-3月期は底堅い成長を記録した。しかし、今後は駆け込み需要の反動や原油安の悪影響が顕在化するなか、景気を牽引してきた民需はやや鈍化する可能性が高い。
4月に導入されたGSTは、従来の売上税とサービス税の廃止や非課税・ゼロ税率の適用を考慮しても税収は56億リンギ増加するとされる。企業はコスト増加分の価格転嫁を迫られることから、GST導入前には駆け込み消費が起きた。従って、1-3月期の個人消費の加速は、こうした駆け込み需要のほか、低インフレに伴う家計の実質所得の増加などの押上げ要因が寄与したと見られる。しかし、先行きの消費については、駆け込み需要の反動や石油関連企業の業績悪化による雇用・所得環境の悪影響が下押し圧力となりそうだ。
民間投資は、好調な建設投資に加えて設備投資も改善して2期連続の二桁増となった。設備投資の改善は、金融政策が緩和的水準を維持していることやリンギ安によって電気・電子製品などの製造業が回復していることも後押しとなったと見られる。3月の企業景況感指数(BCI)は中立値である100を小幅に上回った水準に止まるが、先行きを示す期待指数は131.6ポイントと大きく上振れていることから、民間投資は今後も堅調に推移すると見られる。しかし、石油関連産業が原油価格下落を受けて投資を抑制するために二桁増を維持することは難しいだろう。

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

(2015年05月18日「経済・金融フラッシュ」)

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