2015年04月17日

2015年5月英国総選挙の争点~反EUというよりも反移民~

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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  1. 5月7日の英国総選挙は、2010年の前回と同様、過半数を獲得する政党がない「ハング・パーラメント」となる見通しだ。二大政党のどちらが勝利するにせよ、前回ほどの差はつかない。現在の保守-自民の連立の組み合わせでは過半数に届かない。躍進が見込まれるスコットランド国民党(SNP)は、労働党との連立に意欲を示すが、独立の是非を問う住民投票の再実施への意思が、政権への参加を妨げそうだ。
  2. 反EU・反移民を掲げるUKIPへの支持の広がりなど、英国と幾つかのユーロ参加国の政治情勢の変化に共通項はある。しかし、英国はユーロ未導入であるためマクロ経済政策への制約は強くなく、景気と雇用の回復も実現しており、様相はかなり異なる。
  3. キャメロン政権の5年間で、有権者の関心事は「経済」から「移民」と「NHS(国営保険サービス)」に移った(下図参照)。EUへの関心は必ずしも高くはないが、英国がEU加盟国であるが故に移民の流入に歯止めを掛けることができない、移民がNHS財政の悪化の原因となっているというロジックで、二大関心事と結びつけられている。
  4. キャメロン首相続投の場合、EU残留の是非を問う国民投票を17年に行う。現時点では、Brexitに至る可能性は低くはないが、高くもない。

キャメロン政権の5年間で有権者の関心は経済から移民、NHS(国民保険サービス)に~「英国にとっての重要な課題」として挙げた割合が高い上位10項目~

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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

(2015年04月17日「Weekly エコノミスト・レター」)

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