コラム
2015年03月24日

人口減少に対する危機意識-「労働力人口」増加に向けた処方箋

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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先週の本欄で、原油枯渇に対する危機感から脱産油国を目指すドバイの「未来図」について書いたが*、産油国が原油の枯渇に危機感を抱くように、日本は人口減少による人材不足にもっと危機意識を持つべきではないだろうか。日本は本格的な人口減少時代を迎えており、それは「労働力人口」の減少・枯渇を意味するからだ。日本が経済成長を続けるには生産性を高める技術革新と人材確保が極めて重要だ。ここでは人材確保のための「労働力人口」増加に向けた処方箋について、時間軸に沿って考えてみよう。

まずは長期的施策として、出生数を増やすことだ。しかし、日本の場合、構造的に人口の自然増は困難だ。人口ピラミッドをみると、出生力の高い20代から30代前半の女性数が激減しているからだ。今後、出生率の上昇はあっても、出生数の増加は期待できないだけに、「仕事と子育ての両立」を図るワーク・ライフ・バランスの実現など、できる限り人口の自然減を緩和する施策が必要だ。

次に中期的施策として、子どもの貧困を解消することだ。日本は「子どもの相対的貧困率」が、16.3%と極めて高い。特にひとり親世帯では半数以上が相対的貧困状態だ。貧困世帯に育つ子どもは、十分な教育が受けられず、その後の就職も難しくなる。それが将来の若年層の失業率を高めたり就業率の低下につながり、貴重な労働力人口が有効に活かされないことになる。若年世代の経済基盤の安定化と子どもの教育支援に重点を置いた社会保障制度が必要だ。

もうひとつの中期的施策としては、現在の生産年齢人口の労働力率を高めることだ。子育て女性や元気な高齢者の就業支援はもちろん、無業者の有業化を促進することが重要だ。大学新卒者の3割が3年以内に離職し、再就職がうまくいかずに失業者になり、やがては求職活動もあきらめた無業者になるケースが増えている。稼働能力のある人の再就職支援および付加価値の高い産業分野へ労働移動を促進する、生涯を通じた職業教育の充実が重要である。

さいごに、労働力人口を確保する上で即効性があると考えられる施策は、介護、子育て、疾病等のために離職せざるを得ない人を減らすことと、そのような理由で離職した人々の再就職を促すことだ。高度経済成長期の「稼ぎ手+専業主婦」世帯は減少し、何の時間制約もなく働ける人は少ない。多くの人が短時間でも柔軟に働ける多様な雇用制度、それに対応する組織マネジメントの確立が重要だ。

今の日本には、人口減少に対する強い危機意識を持ちながら、あらゆる時間軸の施策を総動員してでも「労働力人口」を増やすという覚悟が求められているのではないだろうか。




 
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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2015年03月24日「研究員の眼」)

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