2015年03月20日

ソーシャル・ブランディング 3.0-社会的課題の解決に向け、「本来のCSR」とCSVを統合する!!

川村 雅彦

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目次


はじめに
1――ソーシャルグッドの時代
  1│ ソーシャルグッドの意味するもの
  2│ 市民と消費者のソーシャル志向の高まり
  3│ ソーシャルグッドの世界的イベントの拡がり
2――「社会的課題の解決」 に向けた二つのアプローチ:「本来のCSR」 とCSV
  1│ CSVの趣旨に賛同する日本企業は多い
  2│ 意外と多い“CSV否定・懐疑派”
  3│ 同時に実践すべき 「本来のCSR」 とCSV
  4│ 社会的課題の理解なくして、「本来のCSR」 もCSVもない
3――新しいソーシャル・ブランディング
  1│ 「本業で社会的課題を解決する」 を標榜する日本企業の増加
  2│ ソーシャルグッドな商品を提供する先進企業
  3│ ソーシャル・ブランディングは3.0へ



■要約

【ソーシャルグッドの時代】

「ソーシャルグッド」という言葉をご存じだろうか。簡単に言えば「社会に良いこと」であり、世界的な広がりを見せている。マーケティングの領域ではソーシャルな側面を重視する動きがある。その背景には、成熟社会を迎えた現在、様々な社会的課題の顕在化を目の当たりにした、市民や消費者のソーシャル志向の高まりがある。
「エシカル消費」という言葉も使われている。人と社会・地球のことを考えた“倫理的に正しい”消費行動やライフスタイルを指す。社会貢献型の製品・サービスを購入したいとする消費者は少なくない。それゆえ、エシカルな活動や商品開発を行う企業への好感度も高く、多くの消費者は「企業は社会をもっと良くするために行動してほしい」と考えている。

【本業で社会的課題の解決をめざす 「本来のCSR」 とCSV】

日本では、“社会的課題のビジネス化”であるCSV(共有価値の創造)が、一定の存在感を示している。「CSRからCSVへ」というフレーズの下、その趣旨に賛同できるからであろう。しかし、『本業で社会的課題を解決する』という意味では、「本来のCSR」も同じである。ただし、両者の本質的な違いは“社会的課題の原因認識”の違いであることを理解する必要がある。
最近、商品開発・事業開発やマーケティングにおいて、「本業で社会的課題を解決する」を標榜する日本企業が増えている。共通する特徴は、社会的課題の解決を単に新規ビジネスとして捉えるのではなく、持続可能な社会の実現に向けた「本来のCSR」の観点から、業種特性を踏まえた自社の企業経営のあり方にも深く配慮していることである。

【ソーシャル・ブランディングは3.0へ】

企業そのもののブランド価値が問われる時代を迎えた。雑誌『オルタナ』の森摂編集長は、「CSRを起点にしたソーシャル・ブランディング」を提唱している。これを踏まえて、「本来のCSR」と「CSV」の“統合”を提案したい。
これをソーシャル・ブランディングの文脈から考えると、従来型の「本業外の社会貢献活動」を1.0とすれば、「ビジネスとして社会的課題の解決をめざすCSV」は2.0、さらに持続可能な社会の実現のための「本業における『本来のCSR』とCSVの統合」は3.0となる。

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川村 雅彦

研究・専門分野

(2015年03月20日「基礎研レポート」)

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