2015年03月18日

資金循環統計(14年10-12月期)~個人金融資産は過去最高の1694兆円、前年比で50兆円増

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・個人金融資産(14年12月末): 前期比では40兆円増
・資金流出入の詳細: リスク性資産残高は高水準に
・部門別資金過不足等: 企業に前向きな動き、海外勢の国債保有が過去最高に

■要旨

2014年12月末の個人金融資産残高は、前年比50兆円(3.0%)増の1694兆円となった 。残高は9月末を上回り、過去最高を更新した。年間で資金の流入超過が27兆円あったのに加え、円安・株高を受けて時価 が23兆円増加したことで残高が大きく拡大した。四半期ベースでは、前期末(14年9月末)比で40兆円の増加となった。例年10-12月期は一般的な賞与支給月を含むことからフローで流入超過となる傾向があり、今回も23兆円の流入超過となった。また、日銀の追加緩和等を受けて大幅な円安・株高が進んだため、時価が17兆円増加し、残高をさらに押し上げた。

10-12月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、例年同様、現預金への資金流入が顕著であるが、その規模は前年を5兆円程度上回る。雇用者数の増加や冬の賞与増額などが影響していると考えられる。時価の上昇もあり、株と投資信託に外貨預金や対外証券投資などを加えたリスク性資産の残高は276兆円、その個人金融資産に占める割合は16.3%と、それぞれ2007年のピークに迫りつつある。

14年10-12月期の資金過不足をみると、例年はこの時期に資金余剰になる傾向が強い民間非金融法人が、今回は資金不足となっている。また、12月末の民間非金融法人の純借入金残高(借入金-現預金、118兆円)は9月比で10兆円増加。さらに、企業の対外直接投資(フロー)は、本来であれば逆風となる円安下にもかかわらず、投資超過を続けており、企業部門の資金において一部で前向きな動きが確認できる。

国債の12月末残高は1023兆円と9月末から8兆円増加し、過去最高を更新した。保有状況では、預金取扱機関(銀行など)の保有高が9月末から12兆円減少し、300兆円を割り込む一方で、異次元緩和で国債の大量買入れを継続している中央銀行(日銀)の保有高が23兆円増加、両者の差が大きく縮小している。この結果、全体に占める日銀の保有シェアも25.0%へと上昇している。また、海外部門の国債保有高が95兆円、シェアが9.3%と、それぞれ過去最高を更新している。欧州金利が低下基調を強める中、相対的に魅力度を増した日本国債への海外からの資金流入が進んだとみられる。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

(2015年03月18日「経済・金融フラッシュ」)

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