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- 女性活躍と企業業績に関する先行研究の検討
2015年02月27日
■要旨
- 女性活躍と企業業績に関する実証分析は今まで数多く行われており、その一部の研究では、女性活躍と企業業績の間には正の関係があり、さらに統計的に有意であるという結果を出しているが、その反対の結果を主張している研究もあるなど、その結果は収斂していない。
- 欧米の研究:Carter et al(2003)では、取締役会におけるマイノリティーの女性の割合が高くなればなるほど、企業の業績が上がるという結果が出た。また、McKinsey & Company(2012)の分析でも取締役会に占める女性比率が高い企業の方が、女性がいない企業に比べて利益率が高いことが証明された。一方、Marinova et al(2010)の分析では、取締役会のジェンダーダイバーシティーは企業業績であるトービンのqに正の影響を与えているものの、統計的に有意ではなかった。
- 日本の研究:Siegel・児玉(2011)は、日本の製造企業は、女性役員や女性管理職を雇うことによって利益を得ており、その利益のかなりの部分が人件費節約によることを分析結果として出している。山本(2014)の分析では、正社員の女性比率が高い企業(特に30歳代の正社員の女性比率が高い企業)、中途採用の多い企業、ワーク・ライフ・バランス施策を整えている企業における利益率が高いという結果が出た。一方、管理職女性比率と利益率の間では有意な結果は出なかった。
- 韓国の研究:ゾンミョンスク・キムヒャンア(2008)、キムテホン(2010)、ジョンジンファ・他(2010)の分析では女性活躍と企業成果の関係が正であり統計的に有意な結果が出たものの、オムドンウック(2009)のパネルデータの固定効果推定では、女性の雇用比率と企業業績の間で統計的に有意な結果が得られなかった。
- 過去に比べて女性雇用に対する使用者差別や統計的差別が減少しているとは言え、欧米に比べて日本の経営者にはまだ使用者差別や統計的差別という意識が強く残存している。この意識を無くさないといくら政府が支援策を打ち出しても効果は現れにくい。経営者の意識を変えるための対策を持続的に推進することこそが、女性がより活躍できる社会を構築する近道であろう。
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(2015年02月27日「基礎研レター」)
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