2015年02月13日

ユーロ圏にとっての原油安、ユーロ安の効果~欧州委員会15年冬季予測の見方~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  1. EUの欧州委員会は、2月5日に公表した「2015年冬季経済予測」で、15年の実質GDPを前回(11月時点)予測からユーロ圏、EUともに0.2%ポイント引き上げた。
  2. (1)原油安、(2)ユーロ安、(3)ECBの量的緩和の決定、(4)欧州委員会が進める3150億ユーロの投資計画などの材料を加味したものだ。これらのプラス要因を新興国経済の減速のマイナスの影響が上回るとするIMFの予測とは対照的である。
  3. 冬季予測では、エネルギー価格の下落は、消費者と企業にとって直接的な恩恵をもたらし、名目実効為替相場で5%のユーロ安は、1年後に物価を0.3%ポイント押し上げ、実質GDPを0.3%押し上げるとの見方を示した。
  4. 先行きに対する期待によって、ECBの量的緩和や、欧州委員会の投資計画の効果も変わってくる。今回の欧州委の予測は、慎重ながらも明るいトーンでまとめられており、期待に働きかける役割を帯びているように感じられる。
  5. ユーロ圏経済が脆弱さを抱える一方、外部環境の不透明感は強い。ECB、欧州委員会、各国政府が、それぞれの政策を着実に実行する必要がある。

欧州委員会は15~16年にGDPギャップの縮小が加速すると予測~ユーロ圏の潜在GDP、実質GDP、GDPギャップ~

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

(2015年02月13日「Weekly エコノミスト・レター」)

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