2014年12月19日

今、統合報告書は必要か?(その1)-まずは、「統合思考」と「CSR中期計画」を! !

  川村 雅彦

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目次


はじめに:統合報告書の前にするべきこと
1.今、本当に統合報告書は必要か?(問題提起)
2.IIRCが求める統合報告書とは何か?
3.「統合思考」につながる「本来のCSR」
4.「CSR中計」を作ろう!!
おわりに:次稿の論点



■要約

IIRC(国際統合報告評議会)が2013年12月に公表した「国際統合報告フレームワーク」に基づき、財務と非財務の情報を統合した報告書を発行する企業が世界的に増えている。日本でも2010年頃から増え始め、現時点で2014年版の“統合型”報告書を発行した日本企業は約150社となった。

しかし、今、本当に統合報告書の発行は必要であろうか? このことを企業に自問自答していただくことを提案したい。なぜならば、IIRCの求める財務と非財務の「情報の結合性」の観点からみると、2014年版の日本企業の“統合型”報告書の多くは、結合性が低いと言わざるを得ないからである。

また、財務情報と統合すべき非財務情報は、CSR情報(ESG情報)である。しかし、多くの日本企業は法令順守・社会貢献中心の「日本型CSR」を非財務情報と捉えており、ISO26000が定義する「本来のCSR」を認識する企業は決して多くはない。

そこで、本稿における論点(問題意識)は、以下の2点である。
   ・財務・非財務の情報を単に合体した“合冊”報告書なら、投資家に対して発行する意味がないのではないか?
   ・財務情報と統合すべき非財務情報が、「日本型CSR」のままならば、本来の統合報告にはならないのではないか?

企業と投資家(IIRCの言う「財務資本の提供者」)にとって、本質的に統合報告書は必要である。しかし、「バスに乗り遅れるな!」と慌てる必要はないのではないか。それでは、今、何をすべきか。

「統合思考」を報告するのが「統合報告書」である。それゆえ、IIRCが明示するように、まずは「統合思考」の取組と展開が必要である。具体的には、「長期経営ビジョン」と関連づけた「CSR長期ビジョン」とともに、その実行計画たる「CSR中期計画」の策定である。

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(2014年12月19日「基礎研レポート」)

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