2014年12月17日

長寿時代の孤立予防に関する総合研究~孤立死3万人時代を迎えて~

生活研究部 主任研究員   前田 展弘

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【研究結果の概要】

 

【社会的孤立者数の推計】

○日ごろの質的・量的なコミュニケーションの状況から、社会的孤立リスクについて推定した結果、ゆとり世代、団塊Jr.世代の15%程度、団塊世代、75世代の5%程度が、社会的孤立が強く疑われる状況にある可能性が示された。

○この出現率をもとに各世代の社会的孤立状態が疑われる者の人口を推計すると、全国ではゆとり世代で66万人、団塊Jr.で105万人、団塊世代で33万人、75世代で36万人が、それぞれ社会的孤立が疑われる状態にある。

 

【社会的孤立者の特徴(傾向)】

○社会的孤立リスクに関する属性的な特徴をみると、性別では男性で、男性の中では未婚、離別で、団塊世代の男性では死別でも孤立リスクが高い。一方、女性では、未婚、離別で女性全体に比べ高いものの総じて男性よりも孤立リスクが低い。

○価値観と社会的孤立リスクの関係からは、次の志向を有する人が孤立リスクが高いと推定される。

・《家族形成》 「夫婦の意思を重視する」志向の人(夫婦間での依存性が高く、離死別後の影響が懸念)

・《人づきあい》 「他人に干渉されることを好まない」、「非対面(ネット)のつきあいを好む」志向の人(ただし、後者については団塊Jr.世代のみ)

・《働き方》 「割り切り」、「仕事優先」志向の人

○住まい環境と孤立リスクの関係からは、自家用車に依存した生活環境に暮らす高齢層は、加齢や健康状態の変化に伴い運転ができなくなると、移動が制約されて、人との直接的なコミュニケーション機会が減り、高齢期の孤立リスクを高める。

○将来(高齢期)の生活をイメージできていない人ほど、孤立に対する不安が大きい。

 

【社会的孤立問題に対する受け止め方(原因と予防等)】

○高齢期の社会的孤立の問題に対する受け止め方は、「社会に問題がある(39.8%)」、「本人と家族に問題がある(31.0%)」、「自ら選択した生活であり問題ではない(23.1%)」と分かれる。

○高齢期の社会的孤立の原因は、「地域における人と人のつながりの希薄化した地域社会の変化」と考える人が最も多い(61.2%)。

○高齢期の社会的孤立を回避するには、若いときからの幅広い人間関係(量・質)の構築が重要である。そのためには、個々人が日頃から「家族」「人づきあい」「働き方」について見直していくことが必要である。

○また、企業や自治体等では、高齢期の社会的孤立に対する予防意識を高める取り組み、人と人とのつながりをより強化する取り組みが求められる。さらに、まちづくりの面では、公共交通の充実、都市機能の集約化など、自家用車依存を減らす取り組みを進めつつ、人々のコミュニケーションを促進する空間利用や空間整備、住まいづくりを推進することも重要になる。

 

■■ 長寿時代の孤立予防に関する総合研究 概要版 ■■

■■ 長寿時代の孤立予防に関する総合研究 報告書 ■■

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生活研究部   主任研究員

前田 展弘 (まえだ のぶひろ)

研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)、超高齢社会・市場、QOL(Quality of Life)、ライフデザイン

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