- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 円安阻害材料も軽視できない~マーケット・カルテ1月号
2014年12月12日
今月のドル円相場は好調な米雇用統計を受けて121円台半ばに達した後、中国株急落やギリシャ政局不安に伴うリスク回避によって突如117円台半ばまで急落、足元では118円台後半に反転と安定感を欠く展開。急激な円安進行で過熱感が高まっていたことが背景にある。
日米金融政策の方向性の違いという強力な円安材料から中期的な円安ドル高の蓋然性は揺るがないが、今後3ヵ月で考えた場合には円安を阻害する材料の存在も軽視できない。最近の原油価格急落は本邦貿易赤字縮小を通じて実需の円売りを弱め、産油国経済や米エネルギー株への打撃となることでリスク回避の円買いを発生させやすい。また、ギリシャの例のように世界情勢は未だ不安定で、地政学リスクの高い状態が続く。さらに、衆院選の後も来年4月に統一地方選を控えているため、円安に対する政治からのけん制や批判が出やすい。しかしながら、これらは積極的・継続的な円買い材料ではないため、調整材料という位置付けに留まり、3ヵ月後は現状比でやや円安を予想する。
ユーロ円相場は最近ほぼ横ばい圏での推移が続いているが、今後はECBの量的緩和観測がますます強まるだろう。ユーロへの下落圧力が強まり、やや円高ユーロ安が進む可能性が高い。
長期金利は原油安やリスク回避の債券選好を受けて、0.4%付近に低下している。日銀の強力な国債買入れのほか、ECBの量的緩和観測という海外からの金利抑制圧力もかかる。金利低下余地は限定的だが、上昇余地も殆どなく、しばらく横ばい圏内の動きに終始するだろう。
日米金融政策の方向性の違いという強力な円安材料から中期的な円安ドル高の蓋然性は揺るがないが、今後3ヵ月で考えた場合には円安を阻害する材料の存在も軽視できない。最近の原油価格急落は本邦貿易赤字縮小を通じて実需の円売りを弱め、産油国経済や米エネルギー株への打撃となることでリスク回避の円買いを発生させやすい。また、ギリシャの例のように世界情勢は未だ不安定で、地政学リスクの高い状態が続く。さらに、衆院選の後も来年4月に統一地方選を控えているため、円安に対する政治からのけん制や批判が出やすい。しかしながら、これらは積極的・継続的な円買い材料ではないため、調整材料という位置付けに留まり、3ヵ月後は現状比でやや円安を予想する。
ユーロ円相場は最近ほぼ横ばい圏での推移が続いているが、今後はECBの量的緩和観測がますます強まるだろう。ユーロへの下落圧力が強まり、やや円高ユーロ安が進む可能性が高い。
長期金利は原油安やリスク回避の債券選好を受けて、0.4%付近に低下している。日銀の強力な国債買入れのほか、ECBの量的緩和観測という海外からの金利抑制圧力もかかる。金利低下余地は限定的だが、上昇余地も殆どなく、しばらく横ばい圏内の動きに終始するだろう。
(執筆時点:2014/12/12)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【円安阻害材料も軽視できない~マーケット・カルテ1月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
円安阻害材料も軽視できない~マーケット・カルテ1月号のレポート Topへ