2014年12月09日

11月マネー統計~預金大幅増、リスク性資産は鈍化

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 円安もあって急拡大
・マネタリーベース: 年末見通しまで残り12兆円
・マネーストック: 預金大幅増、リスク性資産は鈍化

■要旨

11月の銀行貸出(平残)の伸び率は前年比2.8%(前月改定値は2.4%)と大幅に拡大した。同伸び率は09年5月(3.3%)以来5年半ぶりの高水準となる。従来同様、M&A向けや不動産向け貸出に加え、賞与・配当用の資金が伸びたほか、急激な円安進行によって外貨建て貸出の円換算残高が膨らんだことが影響しているとのこと。情報が限られているため影響度を計ることは困難だが、円安による円換算残高増加は資金の動きを伴っていないため、貸出の実勢という意味では、最近の伸び率上昇はやや割り引いて見る必要がある。

日銀による資金供給量を示すマネタリーベースの11月平均残高は259.3兆円、前年比伸び率は36.7%とわずかに縮小した。年末までの残り1ヵ月で約12兆円の積み増しが必要となるが、12月は季節柄、国債発行超が多くなく、マネタリーベースが増加しやすいため、年末見通し275兆円も射程圏内と考えられる。

マネーストック統計によると、市中通貨量を示す11月のM2、M3の前年比伸び率はともに前月から大きく上昇した。好調な企業業績や貸出の増加を背景とした法人預金の増加によるものとのこと。一方、M3に投信や外債といったリスク性資産等を含めた広義流動性の伸び率は前月から横ばいとなった。既述の通り、M3の伸びは拡大したが、投資信託、金銭の信託、外債といったリスク性資産の伸びが鈍化した。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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