2014年12月08日

【11月米雇用統計】雇用者数の増加だけでなく、文句なしに良い結果

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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【要旨】

1.結果の概要:予想を大幅に上回り、12年1月以来の30万人超

12月5日、米国労働省(BLS)は11月の雇用統計を公表した。11月の非農業部門雇用者数は前月対比で+32.1万人の増加(前月改定値:+24.3万人)となり、前月から大幅に増加、市場予想の+23.0万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を大幅に上回ったほか、予想の上限(+30.6万人)をも上回った。増加幅としては、2012年1月の+36.0万人以来の高水準だった。
一方、失業率は5.8%(前月:5.8%、市場予想:5.8%)と前月から変わらず、市場予想通りの結果となった。一方、労働参加率も62.8%(前月:62.8%)と前月から横ばいとなった。

2.結果の評価:雇用増加ペースが加速、賃金の上昇もポジティブ

11月の雇用増は、10ヵ月連続で20万人超のペースとなった。また、11月までの今年の月間平均増加数は+24.1万人となり、昨年の+19.4万人、一昨年の+18.6万人を大きく上回り、99年の+26.5万人以来の高水準となった。
雇用数の増加を業種別でみても年末商戦を控えた小売業だけでなく、広範な業種で増加がみられることから、労働市場の改善が経済全体に浸透していることが分かる。
一方、失業率は5.8%と前月から横ばいとなり、こちらは5ヶ月ぶりに前月からの低下傾向が一服した。もっとも、現在のように月間20万人超の雇用者数の増加が継続している状況下では、失業率の低下基調は維持されるとみており、懸念する必要はないだろう。
労働参加率は、10月に小幅上昇した後、11月は横ばいとなっており、これまでの明らかな低下基調には変化がみられる。失業者数は4ヵ月ぶりに前月に比べて+11.5万人増加したが、全体の雇用者数が大きく増加する中で、職探しを諦めて労働市場から退出した人が、労働市場の改善を背景に、再び就職活動を再開した可能性があり悪い兆候ではない。
今月の統計で最も注目すべきは、時間当たり賃金の伸びだろう。11月の時間当たり賃金は24.66ドルと前月比+0.4%の増加となり、2013年6月以来の高い伸びとなった。前月比でみて賃金がほとんど増えない状況が2ヵ月ほど続いていたが、久しぶりに大幅な増加となった。この結果、前年同期比でみた賃金の伸びは+2.1%と前月(同+2.0%)から小幅に改善した。依然として+2.1%は抑制された水準ではあるが、今後の改善が期待できる。
このように、11月の雇用統計は、全般に良い結果と言えるが、広義の失業率(U-6)は11.4%(後掲図表9)と依然として高い水準となっており、労働市場の逼迫により賃金インフレが懸念される状況になるには、今暫く時間がかかると判断している。また、足元のガソリン価格の下落をはじめ、エネルギー関連を中心に当面は物価が上がり難い状況を考えており、現状ではFRBが来年9月まで政策金利の引き上げを待つとの見通しは維持する。

非農業部門雇用者数の増減(業種別)/失業率の変化(要因分解)



 
 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
 労働参加率は、生産年齢人口(15歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

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