2014年11月14日

為替は荒れ模様の予感~マーケット・カルテ12月号

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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ドル円相場は10月末の日銀追加緩和によって急激な円安が進行。その後も消費増税先送り・衆院解散観測の高まりから一段の円安となり、足元は116円台前半に達している。

追加緩和によって日米金融政策の方向性の違いがますます鮮明化し、GPIFの対外投資拡大や貿易赤字とともに、今後の円安ドル高シナリオを強力にサポートする。一方で急激な円安に伴う相場の過熱感は強く、利益確定によるドル売りも想定される。方向感としての円安圧力と過熱感に伴うドル売り圧力のせめぎ合いが予想され、3ヵ月後は現状比横ばい程度の水準を予想。ただし、増税先送り・解散観測が攪乱要因。実現すれば、基本的には景気回復期待を通じたリスク選好による円売り材料にされると見られるが、情勢が流動的だけに思惑も揺れやすく、ドル円の上振れ・下振れリスクが高まる。また増税延期は構造問題である財政再建の後退を意味するほか、政権の実行力が選挙で回復するかも不透明なだけに、持続的な円安要因にはなりにくいと見ている。

ユーロ円相場は追加緩和後の円安によって大幅な円安ユーロ高となったが、年末から来年初にかけてECBの量的緩和観測が高まるとみられ、3ヵ月後のユーロ円は現状比で若干の円高ユーロ安を予想。

長期金利は足元で0.4%台後半にある。増税先送り観測によって長期金利に上振れ余地が生まれた。しばらくは不安定な動きとなり、増税の有無を確認してから新たな着地点を模索するとみられるが、日銀が強力に国債を買い入れている以上、金利が急騰する可能性は低い。
 
(執筆時点:2014/11/14)
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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

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