2014年10月31日

欧州中央銀行の「包括査定」でユーロ圏は変わるか?-ECBだけでは問題は解決できない

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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■要旨

欧州中央銀行(以下、ECB)が、銀行監督一元化に先駆けて1年がかりで進めてきたユーロ参加国の主要銀行の包括査定の結果が公表された。不合格行は規模が比較的小さく、経営再建も進みつつあるため、大きな波乱を引き起こすことはないと思われる。

包括査定の積極的に評価できる側面は、ECBと各国監督当局との連携体制構築への重要なステップとなったこと、事前の対策を促し、銀行の健全化が進んだこと、銀行の資産内容の透明性が増したことだ。

しかし、包括査定を終え、銀行監督を一元化しても、ユーロ圏の銀行市場の分断がただちに解消し、貸出が力強く回復する訳ではない。世界金融危機から続く銀行システムへの不安に決着をつけるにはユーロ圏がデフレを回避すること、言い換えれば需要と供給のギャップを解消し、より高く、持続可能な成長の軌道に復帰できるような政策を講じることが必要だ。

ECBだけでは問題は解決できない。ユーロ圏の債務危機を教訓に強化された財政・構造改革の域内監視の仕組みを、財政の健全化と成長を両立し、ユーロ圏全体の競争力を引き上げる政策協調の枠組みとして活用できるかが問われる。

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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

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欧州経済

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