2014年10月29日

鉱工業生産14年9月~2四半期連続減産も、明るい兆し

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・9月の生産は8ヵ月ぶりに市場予想を上回る
・在庫の積み上がりに歯止めがかかる
・10-12月期は3四半期ぶりの増産へ

■要旨

経済産業省が10月29日に公表した鉱工業指数によると、14年9月の鉱工業生産指数は前月比2.7%と2ヵ月ぶりの上昇となった。先月時点の予測指数の伸び(前月比6.0%)は下回ったが、14年1月以来、8ヵ月ぶりに事前の市場予想(QUICK集計:前月比2.2%、当社予想は同1.2%)を上回った。出荷指数は前月比4.3%と2ヵ月ぶりの上昇となり、生産の伸びを大きく上回った。この結果、在庫指数は前月比▲0.8%と5ヵ月ぶりに低下した。
9月の生産を業種別に見ると、新型スマートフォン向けの部品の増加などから電子部品・デバイスが前月比5.8%と3ヵ月連続で増加したほか、大幅減産が続いていた輸送機械(前月比4.7%)、情報通信機械(前月比12.4%)が高い伸びとなった。速報段階で公表される15業種中、13業種が前月比で上昇、1業種が低下した(1業種が横這い)。
14年7-9月期の生産は前期比▲1.9%と2四半期連続の減少となったが、4-6月期の同▲3.8%からは減少幅が縮小した

製造工業生産予測指数は、14年10月が前月比▲0.1%、11月が同1.0%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(9月)、予測修正率(10月)はそれぞれ▲0.4%、▲0.3%となった。生産計画が下方修正される傾向は続いているものの、マイナス幅は大きく縮小した。

鉱工業生産は2四半期連続の減産となったが、生産計画の下方修正幅が大きく縮小したこと、在庫の積み上がりに歯止めがかかったことは前向きに捉えることができる。
14年9月の生産指数を10月、11月の予測指数で先延ばし(12月は横ばいと仮定)すると、14年10-12月期は前期比1.7%となる。14年7-9月期は6月速報公表時点での同様の試算値は前期比1%程度のプラスだったが、実績値は前期比▲1.9%と明確なマイナスとなった。在庫調整圧力は残るため力強い回復は当面期待できないものの、当時よりも状況は改善しており10-12月期は3四半期ぶりの増産となることが予想される。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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