2014年10月17日

早くも試されるEUの新たな財政ルール(その1)~緩和を求めるフランスとイタリア~

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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  1. 2014年内に動き始める欧州連合(EU)の新体制にはデフレ・スパイラル阻止が求められる。ユーロ圏の債務危機を教訓とするEUの経済ガバナンスの見直しで、各国が権限を持つ財政・構造改革の領域でも、欧州委員会の問題提起や、閣僚理事会、首脳会議における政策調整の影響力が増している。
  2. 10月15日までにユーロ参加国の15年度暫定予算案が出揃った。景気の下振れによって、4月の中期財政計画の段階から、フランスは過剰な財政赤字解消期限を2年、イタリアは構造的財政赤字解消の期限を1年先送りした。欧州委員会は、10月中にも、両国に対して約束違反を理由に暫定予算案の修正を求める可能性がある。
  3. 両国が不況下の財政緊縮強化でデフレ・スパイラルに陥れば影響は大きいが、安易な目標の緩和はルールの形骸化を招く。域内他国の反発を招くおそれもある。
  4. フランスのオランド政権、イタリアのレンツィ政権は、財政ルール自体は尊重する立場であり、政治的に困難な包括的改革に着手している。欧州委員会の暫定予算案の修正要請をきっかけに、「潜在成長率の引き上げに資する構造改革の実行を見返りに、財政目標のある程度の緩和を認める」方向で落としどころを探る攻防が繰り広げられそうだ。

4月の財政健全化計画を修正したフランス、イタリア~中期計画(14年4月)と2015年度暫定予算の成長率と財政収支見通しの乖離~

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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

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