2014年10月14日

9月マネー統計~製造業向けがカギになる

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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■見出し

・貸出動向:製造業向けがカギになりそう
・マネタリーベース:少々ペースアップが必要に
・マネーストック:伸び率は横ばいが続く

■要旨

9月の銀行貸出(平残)の伸び率は前年比2.4%(前月は2.3%)と拡大。伸び率は6月(2.5%)以来3ヵ月ぶりの高い水準。また、残高の前年差をみても、2ヵ月連続で増加しており、伸び悩んでいた貸出の増勢は持ち直しつつある。ただし、9月は急ピッチで円安が進行したため、外貨建て貸出の円換算残高が膨らんだ面もある。この部分はあくまで為替換算の話で資金の流れを伴わないため、本来の貸出増加とは異なる性質のものである。6月末時点の業種別では、下位に製造業が並び、これらでは残高が減少している。設備投資資金需要の動向を反映している可能性があり、今後は製造業向け貸出の動向が注目される。

245.8兆円と、前月から3.5兆円増加した。前年比伸び率は35.3%(前月は40.5%)と前月から鈍化している(2ヵ月連続)。日銀当座預金の伸び率が65.2%(前月は79.3%)と鈍化したのが主因である。日銀は9月から損失覚悟でマイナス金利での国債買入れを実施しているが、マネタリーベース積み上げペースの鈍化も一つの要因になっている可能性がある。年末270兆円達成のためには、残り3ヵ月間で17.4兆円(月当たり5.8兆円)の積み上げが必要となる。達成可能圏内とは見られるが、昨年の10~12月の積み上げ額は16.3兆円(月当たり5.4兆円)、今年に入ってからの平均月間積み上げ額が5.6兆円であることを考えると、少々ペースアップが必要な情勢になってきた。

マネーストック統計によると、市中通貨量を示す9月のM2、M3の前年比伸び率はともに前月からほぼ横ばいとなった。伸び率は6月以降3%程度で推移しており、よく言えば安定、悪く言えば年初の勢いはないという評価になる。一方、M3に投信や外債といったリスク性資産等を含めた広義流動性の伸び率は僅かながら拡大しており、リスク選好は続いている。今後、マネーの伸びが本格的な再上昇に向かうかどうかは、引き続き貸出による信用創造活発化がカギになる。

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経済研究部   シニアエコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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