- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【9月米雇用統計】24.8万人と20万人ペースに回復、失業率は予想外に5.9%へ低下
【要旨】
結果の概要:2ヵ月ぶりに月間20万人増加ペースに回復
10月3日、米国労働省(BLS)は9月の雇用統計を公表した。9月の非農業部門雇用者数は前月対比で24.8万人の増加 (前月改定値:+18.0万人)となり、増加幅は前月の20万人を切るペースから拡大、市場予想の+21.5万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を上回った(後掲図表3参照)。これで今年1月以降持続していた月間20万人超の増加ペースに回帰した。
失業率は5.9%(前月:6.1%、市場予想:6.1%)と市場の横ばい予想に反し、前月から0.2%低下した(後掲図表6参照)。もっとも、失業率を低下させる方向に働く労働参加率 は62.7%(前月:62.8%)と小幅低下し、78年2月以来の低水準となった。(詳細はPDFを参照)
結果の評価:ヘッドラインは強いものの、労働参加率や賃金上昇率に懸念も
9月の雇用増は再び20万人を超えるペースに回復した。8月に、月間20万人超の回復ペースを下回り、今年1月以降持続していた順調な回復ペースの変調が懸念されたが、それは杞憂だったことが示された。雇用の伸びは過去3ヵ月の平均が22.4万人、過去1年の平均が21.3万人であり、これまでの回復トレンドが持続していると判断できる。
今月の雇用統計で一番のサプライズは、失業率が前月から0.2%低下し、リーマン・ショック前(08年7月)の水準となったことだろう。失業率の市場予想は前月と横ばいの6.1%、市場予想の下限は6.0%であり、6%割れは予想されていなかった。もっとも、労働参加率は前月から更に低下し、こちらは78年2月以来の低水準となっており、失業率の改善を割り引いて考える必要がありそうだ。また、求職をあきらめた人を含む周辺労働力人口や経済的理由によるパートタイマーを考慮した広義の失業率は、11.8%(前月:12.0%)となっており、こちらはリーマン・ショック前の水準より高くなっている(後掲図表9参照)。
また、雇用増は持続しているものの、賃金の伸びは依然として緩慢である。時間当たり賃金伸び率は前年同期比+2.0%(前月+2.1%、市場予想:+2.2%)と、前月から伸びが鈍化し、市場予想も下回っている。失業率は先月のイエレンFRB議長も指摘する通り、FRBの想定を上回るスピードで改善している。しかしながら、賃金上昇率の伸びの加速はみられておらず、労働市場の緩み(スラック)が依然存在しているとみられる。金融政策の動向を判断する上でも賃金は注目される。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1824
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月18日
サイレントマジョリティ⇒MAGAで熱狂-米国大統領選挙でリベラルの逆サイレントマジョリティはあるか- -
2024年04月18日
「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2023年】(1)~東京23区の新築マンション価格は前年比9%上昇。資産性を重視する傾向が強まり、都心は+13%上昇、タワーマンションは+12%上昇 -
2024年04月17日
IMF世界経済見通し-24年の見通しをやや上方修正 -
2024年04月17日
不透明感が高まる米国産LNG(液化天然ガス)輸入 -
2024年04月17日
英国雇用関連統計(24年3月)-失業率は増加し、雇用者数も減少
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【【9月米雇用統計】24.8万人と20万人ペースに回復、失業率は予想外に5.9%へ低下】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【9月米雇用統計】24.8万人と20万人ペースに回復、失業率は予想外に5.9%へ低下のレポート Topへ