2014年09月18日

資金循環統計(14年4-6月期)~個人金融資産は過去最高の1645兆円、前年比42兆円増

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・個人金融資産(14年6月末):前期比では20兆円増
・資金流出入の詳細:家計のリスク選好は加速せず
・部門別資金過不足等:国債残高は初の1000兆円越え、日銀へのシフトが進む

■要旨

2014年6月末の個人金融資産残高は、前年比42兆円(2.7%)増の1645兆円となった 。残高はこれまでの最高であった13年12月末を上回り、過去最高を更新。年間で資金の純流入が19兆円あったのに加え、円安・株高を受けて時価 が23兆円増加したことが残高を押し上げた。四半期ベースでは、前期(14年1-3月)末比で20兆円の増加となった。例年4-6月期は一般的な賞与支給月を含むためフローで流入超過となる傾向があり、今回も11兆円の流入超過となった。さらに、時価が9兆円増加したことも追い風となった。

4-6月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を見ると、季節要因(賞与等)によって例年同様、現預金への資金流入が顕著であるが、その規模は例年をやや下回る。一方、リスク性資産への資金流入は続いているが、4-6月期に加速した感はない。年初からのNISA始動という追い風はあったものの、消費税増税直後で家計のマインドが萎縮したことや、円安の一服などから一旦様子見姿勢となった可能性がある。

国債の6月末残高は1013兆円と3月末から15兆円増加し、過去最高を更新、初の1000兆円越えとなった。国債の保有状況を見ると、異次元緩和で国債の大量買入れを継続している中央銀行(日銀)の保有高が14兆円増加している。この結果、全体に占める日銀の保有シェアも21.2%(3月末は20.1%)に上昇した。

6月末の民間非金融法人の現預金残高は229兆円と、過去最高であった3月末比で3兆円減少した。ただし、前年比では9兆円増加しており、企業の現預金は高水準で保たれている。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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