2014年09月16日

揺り戻しへの警戒が必要に~マーケット・カルテ10月号

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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ドル円相場は8月下旬以降大きく動いた。米利上げ前倒し観測の台頭、GPIFの外債比率引き上げへの思惑、一部での日銀追加緩和観測など、“ドル高”“円安”材料が揃い、円は102円台から年初来安値となる107円台へと一気に円安ドル高方向へ振れた。

日米の金融政策の方向性の違いは決定的であり、今後もトレンドとしての円安ドル高は揺るぎない。ただし、短期的には揺り戻しに警戒が必要になってきた。最近の円安は投機筋主導の色彩が強く、さらに米国の利上げ前倒しやGPIFの運用見直しが期待先行ぎみに織り込まれたことで、期待値が上がっているとみられる。このため、想定内に留まる情報に対しては、一旦円の買い戻しが起こる可能性がある。また、逆に米利上げ前倒し観測がさらに高まると、今度は米株価調整に伴うリスク回避の円買いが発生するシナリオも考えられる。一本調子の円安は見込めず、3ヵ月後は現状程度に落ち着くと見ている。

ユーロ円相場は、ECBの電撃的な利下げを受けて一旦ユーロ安に振れた後、円安の流れを受けてややユーロ高に転じている。しかし、新たにユーロ高材料が提供されたわけでもない。円とユーロは弱さ比べが続き、今後3ヵ月は方向感の定まらない展開になりそうだ。

長期金利は円安・株高を受けて、0.5%後半まで持ち直しているが、反発力は乏しい。今後3ヵ月では、米金利上昇などを材料にやや水準を切り上げると見るが、異次元緩和による金利抑制力は強く、明確な金利上昇は見込みがたい。

(執筆時点:2014/9/16)

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上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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