2014年08月29日

【フィリピンGDP】4-6月期は前年同期比+6.4%~拡大する海外需要と復興需要で高成長は持続~

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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1.4-6月期は前年同期比+6.4%

フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は8月28日、2014年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で6.4%の増加となり、昨年末の大型台風被害の影響で減速した前期(同+5.6%)および市場予想 (同+6.1%)を上回った。
4-6月期の海外からの純所得は前年同期比+12.7%(前期:同+15.0%)と減速したものの、国民総所得(GNI)は前年同期比+7.3%(前期:同+7.2%)と小幅に加速した。

フィリピンの実質GDP成長率(需要側、原系列)/フィリピンの実質GDP成長率(供給側)


2.好調な輸出と復興需要で6%台の高成長を維持

フィリピン経済は、先行きも輸出が好調に推移すると共に、消費・投資が堅調さを保つことで6%台の高い成長率を維持するものと見ている。世界景気の緩やかな回復は、輸出を拡大させる上、海外出稼ぎ労働者からの送金を促す。特に送金額の4割を占める米国の景気回復の影響は大きく、消費も堅調さを保つだろう。また、投資は年後半から政府主導の建設事業やインフラ整備など復旧・復興の本格化によって再び加速すると見ている。
先行きの懸念材料としては、金融引き締め策による企業の投資意欲の減退が挙げられる。中央銀行は今年3月以降、預金準備率、特別預金口座(SDA)金利、政策金利をそれぞれ引き上げているものの、7月の消費者物価指数は前年同月比+4.9%と、今年のインフレ目標(3~5%)の上限を超えようとしているほか、来年のインフレ目標(2~4%)の達成もリスクに晒されている。先行きのインフレ率は、台風被害による食品価格の高騰を受けて政府が実施する米の追加輸入策によって一部緩和されるだろうが、景気拡大による上昇圧力は根強いと見られる。9月11日に開催される金融政策決定会合では、政策金利もしくはSDA金利の引き上げが判断される可能性が高い。

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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