2014年08月08日

新たな段階に入った欧米の対ロシア制裁-制裁と報復の応酬長期化、拡大のリスクに警戒が必要

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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■要旨

欧州連合(EU)が、マレーシア航空機撃墜事件を受けて、対ロシア制裁の段階を引き上げ、制裁の領域を銀行の資金調達、軍需、エネルギー分野に拡大した。EUの経済面でのロシアとの結びつきは、米国に比べて遥かに緊密で制裁の代償も大きくなる。これまでのEUの対ロシア制裁は、米国と歩調を合わせつつ、より慎重な姿勢をとってきたが、今回の措置で温度差はかなり縮まった。

欧米の制裁が新たな次元に入ったとは言え、全面的な制裁に踏み切った訳ではなく、即座に大きな影響を及ぼすことはない。

ロシア経済には豊富な天然資源、強固な財政基盤、経常黒字と高水準の外貨準備など脆弱な新興国とは異なる強さ、言わば制裁への耐性がある。制裁強化が、欧米が望むようなウクライナ情勢の安定に向けたロシアの歩み寄りにつながらず、欧米とロシアの間で制裁と報復の応酬が長期にわたり、じわじわと拡大するリスクがある。

日本も制裁強化で欧米と歩調を合わせた。経済への直接的な影響は限定的だが、外交への影響は広がる懸念がある。欧米とロシアの制裁と報復が長期化・拡大すれば、経済面でも間接的な影響は大きくなる。今後の動向に目配りが必要だ。

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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

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