2014年08月04日

【台湾4-6月期GDP】前年同期比+3.8%~消費・投資・純輸出が揃ってプラス寄与~

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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1.4-6月期は前年同期比+3.8%

台湾の行政院主計総処(DGBAS)は7月31日、2014年4-6月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比(原系列)+3.8%となり、前期(同+2.9%)から加速した。これは5月に行政院主計総処が公表した見通し(同+2.8%)、市場予想(同+3.2%)の双方を上回る結果であった。
(図表1)台湾の実質GDP成長率(需要側)/(図表2)台湾の実質GDP成長率(供給側)

2.輸出主導の経済成長が継続

2014年4-6月期の成長率は3期続けて加速し、6四半期ぶりの高水準を記録した。台湾は、輸出の拡大で消費・投資への好循環が生まれている。

月次の貿易動向をみると、輸出は景気回復局面にある欧米向けに加えて、これまで伸び悩んでいた中国・香港向けも拡大するなど好調を維持している。また、輸入は機械・電気設備などの資本財が前年比プラスを維持しているほか、原材料が4月に1年間続いたマイナスからプラスに転化している。このような海外需要の拡大を背景とする貿易規模の拡大は、設備投資や生産の拡大に繋がっている。生産の拡大は、雇用の拡大や従業員の給与増(時間外含む)にも繋がっており、個人消費の緩やかな改善に寄与している。

台湾経済は当面は好調を維持すると見ているが、中国メーカーの技術水準向上によるIT市場の競争激化など懸念材料は払拭された訳ではない。更に7月3日には中韓FTAという新たな懸念材料も浮上した。中韓FTAの発効で最大の貿易相手である中国向け輸出が韓国に対して不利になる台湾にとって、中台間のサービス貿易協定の発効、物品貿易協定の締結はより切羽詰った課題となった。しかし、対中政策を巡っては、民意は『現状維持』志向が大多数を占めており、政府は11月の統一地方選、2016年1月の総統選を前に思い切った決断ができなくなっている。政府は親中政策に対する国民の不安を小さくし、サービス・物品の貿易協定を前進させることができるのか。中期的な安定成長を維持するために政治が果たすべき役割は大きい。
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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