2014年07月25日

中国経済:2014年上期の概況と下期の見通し

三尾 幸吉郎

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  1. 中国の2014年上期の実質GDP成長率は前年同期比7.4%増と2013年の前年比7.7%増を0.3ポイント下回った。内訳は消費(最終消費)が4.0ポイント、投資(総資本形成)が3.6ポイント、純輸出が▲0.2ポイントである。また、上期の中では前半よりも後半の方が良く、1-3月期の前年同期比7.4%増から4-6月期には同7.5%増へとやや加速した。
  2. 2014年上期の輸出は、前年同期比0.9%増と小幅なプラスに留まったものの、4-6月期には同4.9%増と1-3月期の同3.4%減からプラスに転じた。下期は、(1)先行指標となる製造業PMI(新規輸出受注)が50を上回ってきたこと、(2)人民元安が輸出にはフォローの風となること、(3)日米欧で景気回復が続く見通しであることなどから、回復傾向が続くと見られる。
  3. 個人消費の代表指標である小売売上高は、2014年上期に前年同期比12.1%増と2013年の同13.1%増を1.0ポイント下回った。但し、4-6月期は同12.2%増と1-3月期の同12.0%増より少し回復した。下期は、住宅販売の落ち込みがマイナス寄与しそうだが、今のところ景気悪化が所得悪化に結びついていないことから、当面の個人消費は底堅いと見ている。
  4. 投資の代表指標である固定資産投資は、2014年上期に前年同期比17.3%増と2013年の同19.6%増を2.3ポイント下回った。下期も、製造業と不動産業では投資が減速、成長率を0.7ポイント程度押し下げそうだが、インフラ関連の投資が加速することなどで0.2ポイント程度押し戻すことから、投資全体では0.5ポイント程度の減速に留まると予想する(下左図)。
  5. 住宅の販売や新規着工が落ち込んできたにも拘らず、中国政府は大幅な金融緩和に慎重な姿勢を堅持しており、需要面からの景気対策も小規模なことから、7-9月期の成長率は前年同期比7.2%増程度へ一旦鈍化すると予想。しかし、新型都市化などビルドの政策を前倒しで進めていることなどから、10-12月期には同7.5%増程度へ回復と予想する(下右図)。

業種別の投資動向予測/実質GDP成長率(前年同期比)の予測

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(2014年07月25日「Weekly エコノミスト・レター」)

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